テロから日本を救え!政府が「ホワイトハッカー」養成へ
テクノロジーの進化は、人間が携わる職業を変化させている。たとえば、最近の小学生に「将来の夢は?」と聞くと、「ユーチューバーになりたい」と答える子がいるという。言われてみれば、ユーチューバーは今まさに右肩上がりの職業である。
だがこの「ユーチューバー」という単語を高齢者に言っても、「何それ?」と返されてしまう可能性が高いだろう。このように、日進月歩の最先端技術は常に新しい職業を生み出し続けている。
■正義のハッカー育成計画
そんな中、世界各国の政府は、「ホワイトハッカー」の育成に力を入れ始めた。ユーチューバーの意味は知らなくても、このホワイトハッカーは一般人も必ず覚えておくべき単語である。
他人のコンピューターに侵入し、情報を盗み取る人々を「ハッカー」と言うが、それに対抗するためのシステムを構築するのがホワイトハッカーである。「テロリストと特殊部隊」という表現が、一番近いかもしれない。
日本政府も2020年のオリンピックを控え、このホワイトハッカーの育成プロジェクトを本格化させた。経済産業省の外郭団体を設立し、そこでホワイトハッカー志願者を受け入れる。
そのように育った人材は、最終的には発電所や防衛産業施設といった重要拠点のサイバーセキュリティーを担う。今やテロリズムの手段は爆弾攻撃や銃撃だけではない。サイバーテロを未然に防ぐことが、政府にとっての最重要課題になっているのだ。
■サイバーセキュリティー大国
そうしたサイバーセキュリティー事業は、すでに一大産業となっている。この分野での世界最先端といえば、イスラエルだ。
同国はまさに弾薬庫の中央に位置しているようなもので、長らく紛争が絶えない。それ故に強力な軍事力を保持しているのだが、サイバーセキュリティーもその一環である。
だからこそ、この業界ではイスラエル企業が幅を利かせている。軍の情報セクションでハッキング技術を学んだ元兵士が、退役後に会社を立ち上げるということも珍しくない。
とくに現代戦争は機密保全が鍵を握る。一度漏れた機密情報は、数分もしないうちに世界中へ拡散する。こうなった時点で、数個師団の兵力など無力化されてしまうのだ。イスラエルがこの分野で力を発揮するのは、当然とも言える。
■ホワイトハッカーと国防
ホワイトハッカーの育成は、兵士を育てるに等しい意味合いのものである。ハッカーは銃を持たないが、代わりにパソコンを使って世界のどこからでも重要施設のプログラムに侵入する。それに対抗するホワイトハッカーは、まさに「国防任務」を担っているのだ。
「最先端技術は職業を変化させる」ということはすでに書いたが、我々は新しく世に登場した職業がどのような社会的役割を果たすのか、今一度真剣に考えるべきだ。