【教育コラム】女子校あるある
■「女子校=か弱いお嬢様」は間違い
「女子校」という言葉から何を連想するでしょうか。「お嬢様」「ぶりっこ」「厳格」「か弱い」などというイメージは女子校の実態とはちょっと違います。
だって想像してみてください。異性がいないのですから、そこでぶりっこをしても意味がありません。お嬢様ぶっても何も得しません。女同士だからあけすけな会話もし放題です。重い荷物も自分で運ばなければいけないし、文化祭の大道具だって、トンカチやノコギリを振り回して自分たちで作らなければいけません。
会社のコピー機が故障したときに、女子校出身者と共学校出身の女子との違いが表れると言われています。
共学校出身の女子は、すぐに近くの男性を呼ぶと言われています。でも女子校出身者は自分でコピー機の中を調べて、なんとか自分で直そうとすると言われています。もちろんこれはステレオタイプ化された極端なたとえ話ですが、女子校出身者は「男性に頼る」という選択肢をもっていない場合が多いのです。
中高時代を女子校で過ごした女子が、大学に入学して初めてのサークル合宿に参加するとびっくりすることがあるといいます。
コンビニに買い出しに行くと、「女子はスナック菓子をもってくればいいよ。飲み物は男子がもつから」と、重いものを男子がもってくれることにドキドキしてしまうそうです。
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■女子校は「ももクロ」、共学校は「AKB」
女子校と共学校の違いを、「ももいろクローバーZ」と「AKB48」の違いになぞらえることもよくあります。
女子校では女同士の利害関係が発生しません。友達が嫉妬や排除の対象にはなりません。しかし共学校では、派手でかわいい子たちがちやほやされ、トップグループを形成し、イケてる度合いによってクラス内にヒエラルキーができます。
それがちょうど、「ももクロ」が異性にこびずにチームの協調を重んじるのに対し、「AKB」が競ってファンサービスをして総選挙で順位を争うのと重なるという話です。もちろん実際には「AKB」だって団結力や協調性を重んじているとは思いますが、表面的に見ればということです。
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■「女らしく振る舞う」という概念がない
そもそも女子校には「女のくせに」とか「女々しい」とか「女らしい」とか、そういう表現がありません。性差という概念がないからです。
お行儀の悪い子をたしなめるときも、「女の子らしくしなさい」と言えば性差を前提にした表現に聞こえて抵抗感を感じる生徒も少なくないと思いますが、女子校では「本校の生徒らしくしなさい」と言えばいいのです。
「女らしくふるまう」という概念がありませんから、実は女子校の生徒のほうが、共学校の生徒よりも、理系に進む割合が多いといわれています。理系に限らず、進路選択において、共学校の生徒よりも女子校の生徒のほうが性別によるバイアスがかかりにくいといわれています。
つまり女子校は、世の中の性的分業意識の影響を受けにくい環境だといえるのです。意外にも、女性であることを押しつけられない環境なのです。
■女子校出身者は男を見る目がない!?
まあ一方で、共学出身の女子からすると、「男を見る目がない」という批判はいつの時代もあるようですけど(笑)。それで女子校出身の妻が私と結婚してくれたんだなと合点がいきます……。オイッ!
しかしそんな「女の園」も全国に300校程度しかありません。しかも年々その数が減っています。全国に約5000の高校がありますが、約6%しか存在していないのです。
必ずしも共学校よりも女子校のほうが優れているとは思いませんが、これ以上女子校が減ってしまうのもさみしいものです。貴重な女子校と女子校出身者を、社会として、暖かなまなざしで見守りたいものです。
<書籍紹介>
『女子校という選択』
(おおたとしまさ著、日本経済新聞出版社、850円+税)
ヒラリー・クリントン、オノ・ヨーコ、YOU……。かっこいい女はなぜ女子校出身なのか。
※この記事は全国のFMラジオネットワークJFNの「OH! HAPPY MORNING」のコラボ企画です。記事の更新は隔週木曜日10:30am。記事更新の約10分前から、おおたとしまさがこのラジオで記事と同様の話をおしゃべりします。
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(文/おおたとしまさ)