イギリスの民家から「ナチスの暗号機」が…1500円でオークション出品

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※画像はYouTubeのスクリーンショット

第二次世界大戦は、情報戦でもあった。連合国軍は日本とナチス・ドイツに対抗するため、多くの情報部員を養成。敵対国の軍が使用する暗号解読に当たった。

米英ではドイツ軍の暗号の解読文を『ウルトラ』、日本は『マジック』と呼称されていたが、この暗号解読セクションに米英が投じた費用はとても換算できないだろう。

特にドイツ軍の複雑な暗号は、連合国軍を悩ませた。ドイツ軍には暗号作成機『エニグマ』とその上級モデル『ローレンツ』があり、それは極めて高度な設計だったのだ。



 

■ガラクタだと思っていたら…

ところで、今年5月にインターネットオークションeBayでこんな出品があった。

それは古いテレプリンター(電報打ち出し機)だということで、価格は9ポンド50ペンス(約1,500円)。イギリスのサウスエンドにある民家の物置から出てきたという。

当然出品者は「これはガラクタだ」と思っていた。だが、それこそが先述のドイツ軍の暗号作成機『ローレンツ』だったのだ。

そのことに気づいたイギリス国立コンピューター博物館の研究員は、出品者の家に直接訪問。そして財布から10ポンド札を出し、「お釣りはいりませんから譲ってください」と言ったそう。

かくして、たったの10ポンドでナチスの最高機密が売買された。


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■連合国軍を苦しめた暗号

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※画像はYouTubeのスクリーンショット

『ローレンツ』は、独裁者アドルフ・ヒトラーとその側近、そして軍の最上級指揮官にしか所有を許されなかったマシン。

つまり『エニグマ』が戦術レベルの命令の発信に使われていたのに対し、『ローレンツ』は戦略レベルのそれを担っていたのだ。どちらがより複雑な構造だったのかは言うまでもない。

イギリス軍は天才数学者アラン・チューリングをヘッドハンティングし、暗号解読学校でドイツ軍の暗号文解読の作業に従事させた。その中でチューリングは、対独暗号解読装置『ボンベ』を開発している。

そしてこれが、今日に至るコンピューターテクノロジーの基礎になったのだ。


■ヨーロッパは「戦争遺物」の宝庫

『ローレンツ』のような戦争遺物は、ヨーロッパにはまだまだたくさん眠っている。

確かに日本にも第二次世界大戦中の物品は多くあるが、ヨーロッパの場合はさらに第一次世界大戦、普仏戦争、普墺戦争、クリミア戦争、ナポレオン戦争……というように極めて多くの大戦乱を経験し、それにまつわる物品が無数に存在する。

こうした「戦争関連物品」の取引市場が非常に大きいことも、ヨーロッパという地域の特徴だ。

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(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一