各地で発覚するテロ計画 日本人実業家が語る「恐怖」
今年1月にインドネシアの首都ジャカルタで発生したテロ事件は、現地の日系社会に大きな動揺をもたらした。
しらべぇ取材班は、この瞬間に立ち会っている。現場は日系企業も多く入居するビル街の一角。テロは今や、我々日本人にとって無縁ではないのだ。
そしてジャカルタと同じく、日本人ビジネスマンが多く駐在する第2の都市スラバヤでも、テロリストの存在が明らかになった。
■「第2の都市」でも計画が
インドネシアの警察は今月9日、スラバヤで3人のテロリストを逮捕したと発表。
それによると、3人はスラバヤにある民家で爆弾を製造し、さらには拳銃や自動小銃まで仕入れていたという。これらの武器はすでに押収され、警察当局によって公開されている。
インドネシアは銃規制の厳格な国のひとつ。日本と同じで、一般市民が銃を持つということはまずない。にもかかわらず、なぜ自動小銃が入手できたのか。そのあたりの捜査が現在進められている。
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■テロリストは「異端者」
このテロリストは、断食期間中を狙って都市を攻撃しようとしたという。
イスラム過激派であるISは、世界中に潜伏する構成員に対し「断食中の今こそ攻撃のチャンスだ」と呼びかけている。信徒の敬虔さを要求する時期になぜISはテロを呼びかけるのか…。それはイスラム教徒から見ても謎だ。
「ISの連中はイスラム教徒などではない」。トルコでもパキスタンでもインドネシアでも、市民の大多数はそう口を揃える。
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■日本人も危険にさらされる
スラバヤでの事件について現地在住の実業家、佐藤千津子氏に話を聞いた。
「今回、逮捕者が出て怖いと思ったのは、テレビの向こうの出来事ではなく身近な出来事だということです。
大きなモールや米系資本の店舗だけでなく日本領事館や日本人学校など、子供も危険にさらされかねないと改めて感じます。仕事場もモールの中に入っているため、危機管理の徹底が必要だと思いました」
佐藤氏はスラバヤで成功を収めた日本人実業家のひとり。それ故に言葉の重みがある。テロがビジネスに与える悪影響は、極めて大きい。
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■肥料が爆弾の材料に
だがそれでも、何かしらのきっかけでISに共感してしまう者は一定数存在する。
そんな人が真っ先に買い求めるのが農業用の肥料。昔から、硝酸アンモニウム肥料の転用爆弾の材料にされているのだ。この肥料は降水量の少ない地域でよく使われている。
農作肥料としての硝酸アンモニウムは雨で流されやすく、日本のような降水量の多い地域ではあまり使われない。だがインドネシアのように年中乾燥している地域ならば、即効性があるという利点も重なって多用されているため、簡単に手に入ってしまう。
これさえあれば爆弾を作るのは非常に簡単。爆弾テロは「貧乏人の戦争」なのだ。こうしたことも、テロ撲滅が困難を極める原因のひとつになっている。
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(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一)