夕張市の財政破綻から10年 他の市の財政運営はどのような状況か
2006年に353億円の赤字を抱えて財政破綻した北海道夕張市。財政破綻から今年で10年目を迎えるが、いまだに250億円以上の借金を抱えており厳しい現状は続いている。
若干35歳の鈴木直道市長は自身の給与70%をカットして月給約26万円に削り込み、再生に向けた強い意思からそのリーダーシップ性も注目を浴びている。
しらべぇ編集部では、夕張市以外の市の財政は実際にどんな現状なのか、とある市役所役所に務める男性(30代)に取材を試みた。
■夕張市以外でも資金難になるのか
Q.お仕事はどんなことをしていますか?
「市役所で市の資金調達・運用、財政健全化計画の立案などをおこなっています」
Q.財政難が話題になっていますが、実際に資金難になる?
「どこの自治体も財政難と認識してると思います。決算で赤字になることは稀だと思いますが、厳しい自治体は黒字になるようなんとか資金繰りしてるところもあると思います。
自治体の歳入は税収が基幹になりますが、景気の変動などに影響されやすいです。また、今後の高齢化や人口減少を考えると、税収の大きな伸びは見込めません。一方で、高齢者や子育てに対する行政サービスは増加傾向にあります。
また自治体の場合、一度始めた行政サービスは、さまざまな利益団体が絡むなどの理由から、廃止するのに時間と手間がかかります。
こうしたことから収支のバランスが取りにくいというのが、自治体の現状だと思います」
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■夕張市のような市が今後現われる可能性は
Q.あなたがお勤めの市役所は、財政力指数が上位だと思うのですが、どういった収益が大きい?
「ランキングの財政力指数(財政力指数とは自治体の財政力を示す指標であり、基準となる収入額を支出額で割り算した数値)ですが、これは理論値で必ずしも実態を反映しているとは言えません。
健全化判断比率(実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率などの4つの財政指標から定められている)という指標もありますが、こちらについては全政令指定都市の中でも、うちの市はワーストです。
一般論で話をすると大都市は人口も多く、企業も集積しているので、税収の割合が多いです。ただし、それでも収入に占める割合は50%程度。小さな町村などは、地方交付税の割合が多いと思います」
Q.夕張市のような市が今後現れる可能性はある?
「その可能性は現状では低いと思います。夕張の一件で、国は健全化判断法というのを作って、財政指標をチェックしてます。国の基準に引っかからないよう、どの自治体も財政運営するようになってます」
市役所などは一般企業より収益のバランスが取りにくいので、資金の運営はかなり高度な知識が必要だということが判明した。 夕張市の再来の見通しは少ないものの、高齢化社会に向け市町村の財政も今後さらに厳しくなっていくのかもしれない。
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(取材・文/しらべぇ編集部・ニートgoma)