「ポケモンGO」で事故続発 危険なポケモン探しに警告も
『ポケモンGO』の話題が、世界のテクノロジーメディアを完全に占拠している。
テスラの自動運転車やVRゴーグルなどの話題は、まるでやる気のない角番大関のようにあっという間に土俵際へ押しやられた。それだけポケモンGOがセンセーショナルを巻き起こしているということだが、このゲームは早速社会問題になっている。
一言で言えば、「スマホユーザーの倫理観」をポケモンGOは破壊したのだ。
■ポケモン探しに身体を張る人々
ポケモンGOは、「現実世界にいるポケモンを探すゲーム」。
そのため、路上を歩きながらスマホをかざす人がゲーム配信国で急増した。いわゆる「歩きスマホ」である。ニューヨークのセントラルパークでは、昼夜問わずポケモントレーナーが大挙しているような状態に。
歩きスマホの危険性は世界中で指摘されているが、案の定事故が続発。ニューヨーク州オーバーン市では、ポケモンを探しながら自動車を運転していた男性が事故を起こした。車は大破し、そのまま廃車処分。男性は病院に搬送された。足を骨折した程度で済んだのだから、運がいいとも言える。
ペンシルベニア州では、15歳の少女がポケモンを探してる最中に車にひかれてしまった。ゲームに夢中で、接近してくる車に気づかなかったという。
カリフォルニア州では、2人のポケモントレーナーが崖から転落して負傷。ポケモン探しは、まさに命がけなのだ。
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■どうしてここにポケモンが?
こうした事態を受け、各地域の警察当局は「ポケモン注意報」を出している。
アメリカやオーストラリアは車道が広く、日本のように細々としたカーブがあまりない。そうであるが故、「運転中のスマホ操作」が非常に深刻な社会問題として横たわっているのだ。ポケモンGOは、それに拍車をかけてしまった。
また、あらゆるところにポケモンが出現しているため、思いがけない場所がお祭り騒ぎになってしまう例も。大学の構内や病院などにポケモントレーナーが押し寄せ、任天堂には「なぜここにポケモンを出現させたんだ」という苦情が寄せられているのだ。
このゲームのヒットにより任天堂の株価は大幅に高騰。だが、同時にスマホユーザーの倫理観にまつわる問題も明確にしてしまった。
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■マナー啓発の重要性
日本の有識者の中には、「ポケモンGOに製造物責任法を適用するべきだ」と公言する人物もいる。
だが、それは現実的とは言い難い。製造物責任法とは、あくまでも製品の品質向上のために制定された法律。そもそも「ゲームを法律で取り締まる」ということ自体に無理がある。
従って、歩きスマホによる事故を防ぐには「ユーザーへのマナー啓発」という手段以外にない。飲酒運転も、それを防ぐための最良の手段は「周囲の指摘」。同乗者が、あるいは飲食店経営者がひと声かければ飲酒運転事故の発生件数は減る。
ポケモンGOにも、そうしたことが当てはまるはずだ。
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