元兵士のホームレスと社会の溝を埋める女性写真家の願い

2016/07/20 20:00

マーティン・スコセッシが監督した映画『タクシードライバー』。同作でロバート・デ・ニーロが演じた主人公のトラビスは、ベトナム戦争からの帰還兵だ。

深刻な不眠症に悩まされていたトラビスが、タクシーの運転手として働き始める場面から物語は始まる。この作品は、戦場を経験した元兵士の心の傷、いわゆるPTSD(心的外傷後ストレス障害)を題材だ。

映画が公開された当時はベトナム戦争が集結した直後で、トラビスのように戦場帰りの兵士が不眠症や極限状態のフラッシュバックに悩まされるなど、PTSDが社会問題となっていた。

兵士
※画像はFacebookのスクリーンショット

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■写真家が収めた元兵士の姿

女性写真家のShine Gonzalvez(シャイン・ゴンザルベス)は、ライフワークとしてロンドンで路上生活するホームレスをカメラに収めている。

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※画像はFacebookのスクリーンショット

彼女はホームレスの人たちと親交を深めて身の上話を聞いていく内に、彼らの多くは、戦場経験のある元兵士であることに気付いた。

ホームレスの人達は、多くの人が目を背ける存在です。私は、彼らの美しさを引き出すべきだと感じたんです」


ビクトリア駅で路上生活するホームレスのスティーブも、かつては兵士として戦場を経験したひとり。 今では、日中、誰とも会話をすることはない。来る日も来る日も、かつての戦友が電車に乗って帰ってくるのを黙々と待っている。

「彼等は警察やメディア関係者を警戒しているので、最初は心をひらいてくれません。しかし、私が写真を撮影する目的を話すと、興味を持ってくれるんです」


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■ホームレスの言葉に耳を傾ける

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※画像はFacebookのスクリーンショット

彼女は写真を撮ることで、社会とホームレスの間の溝を少しでも埋めることを目指している。そのために写真を撮影するだけでなく、ホームレスの人達と一緒にコーヒーを飲みながら、彼らの話に耳を傾けることも忘れない。

そして写真展で得た収益は、ホームレスを支援する活動の資金となる。

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※画像はFacebookのスクリーンショット

ご存知のように、過激派組織イスラム国を巡って、世界中から多くの兵士が戦場へ向かっている。戦地から帰ってきた人の心のケアについては、まだ考える余地が多く残されているようだ。

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(取材・文/しらべぇ編集部・狐月ロボ

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