うどん食べるとクルマが走る? バイオ燃料電池車、日産が試作
燃料電池車とは、いわゆる充電式の電気自動車とは異なり、「ステーション」で補給した燃料により自ら発電した電気で走るクルマのこと。エコカーといえば普及が進んだハイブリッド車を真っ先に思い浮かべることが多い。
遅れを取っている燃料電池車も、実用化まであと一歩。最近では日産自動車が、バイオエタノールから発電した電気で走行する新しいタイプの燃料電池車の試作車を発表している。
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■バイオエタノールとクルマ
バイオエタノールとは、トウモロコシやサトウキビなどの植物を発酵・蒸留して得る燃料のこと。燃やすと二酸化炭素を排出するが、二酸化炭素を吸収しながら育つ植物がもとということは、概念上、排出量と吸収量が同量。すなわち「カーボンニュートラル」だとされる。
バイオエタノールを燃料としたクルマはすでに実用化。市販もされているが、ガソリンに混ぜたり、直接、燃焼させることで動力を得るタイプ。日産の試作車は、「ステーション」で得たバイオエタノールで発電・蓄電を行うタイプだ。燃焼タイプに比べ、バイオエタノールを高い効率で使うことができるとされる。
試作車も、バイオエタノール30リットルで600キロほど走れる。ガソリン車並の航続距離だから、「ステーション」の整備がある程度進めば、十分に実用的といえそうだ。
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■うどんのゆで汁も原料に
バイオエタノールの原料に使われるトウモロコシやサトウキビは、デンプン質を多く含む。すなわち食料でもある。需要がふくらむと食料不足を引き起こす懸念もある一方、近年では「捨てられていたデンプン」からバイオエタノールを精製する研究が進む。
たとえば「うどんのゆで汁」からの精製はすでに成功。デンプンのみならず、天然の材料から得たセルロースを分解して得られる糖分を利用する「第2世代のバイオ燃料」も注目を浴びつつある。
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■化石燃料からエコ燃料へ
さらには、建築廃材や稲わら。海藻類など、思わぬものを原料にバイオエタノールを精製する研究も。低燃費の追求が「エコ」とされた時代を経て、化石燃料からの転換を図ろうと模索が続く。
処理に困るものや調達が容易なものを燃料に走る「次世代のエコカー」が珍しくない時代が、すぐそこまで来ているのかもしれない。
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(取材・文/しらべぇ編集部・上泉純)