リズム感ゼロでも「よさこい」は踊れるのか?本場・高知で挑戦

地域

2016/08/14 07:00

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四国三大祭りのひとつ、よさこい祭り。今年は今月9~12日に開催され、過去二番目に多い205のチームが参加、約18,000人の踊り子たちが参加した。

例年以上の盛り上がりを見せた今年のよさこい祭りだが、しらべぇ取材班もアンテナショップ「まるごと高知」などを運営する高知県地産外商公社さまのご好意で現地を訪れていた。

しかし、要請されたのはただの取材ではない。実際に踊り子として参加し、よさこいに挑戦するという取材である。


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■リズム感ゼロの人間でもよさこいは踊れるのか?

参加者はこの記事を書いている岡本(以下、記者)と……

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岡田取締役(42歳)の2名。

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引きこもり気質で根暗人間揃いのしらべぇ編集部の中でも、群を抜いてリズム感に恵まれなかったふたりだ。

とくに記者は「踊れるダンスで一番難しいものがラジオ体操第一」「ライブ中、ひとりだけ手拍子が裏」というレベルで、リズム感の悪さは昔からコンプレックス。実際に踊ってみても……

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ランニングマンのつもりが、一揆のときに変なテンションになった農民の舞いのようになる。三代目の殿様がバカすぎて圧政を敷いていたのだろうか……。


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■いざ高知へ

(現地に到着するも浮かない表情です)

東京での数回の練習と自主練を経て9日に取材班は現地入り。四国銀行チームに帯同し、「高知家カツオ人間よさこいポジティブDancers」として踊る。

しかし、前日になってもフリが曖昧なところがまだあり、不安を残したまま本番を迎えることになった。四国銀行は例年「正調」という、伝統的なスタイルだったのだが、今年急遽フリが変わることになり、劇的に難しくなっていたのである。

本番前には、顔がすっかり青ざめて今にも死にそうになり、気づけば神に祈っていた。

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なお、上の写真で着ているのが実際の衣装。これに包まれ外へ出ると本当に暑い。湿度は高いし、なにより日光が強すぎる。後から知ったのだが、初日が最高気温33度、2日目が36度だったらしい。


■体力勝負なよさこい

さて、ここで読者の皆さんにもよさこい祭りの基本知識を紹介したい。

・高知市の中心街に演舞場、競演場と呼ばれる場所があり、そこで踊る


・曲自体は3~4分程度だが、1回で終わりではなく繰り返し踊る。ゴール地点に到達するまで歩き、踊り続ける。短いところで10分、最長で30分もある


・しかも、1日に6~7ヶ所くらいで踊る


・事前に予約する形式ではなく、当日に早いもの順で申請していく。ゆえに待ち時間が長い


・10時~21時くらいまでかかるチームもある


一言で表現するなら「地獄」がふさわしい。ちなみに、記者はこれだけ踊ることを前日になって知ったので、そのときは正直「死」を覚悟した。


■いざ、出陣!

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そして、自分たちの出番になり、踊り始めた。ひとつの演舞場、競演場で何回も踊るので、最初間違えていたフリも修正し、次第に覚えていく。ある意味、OJTである。その結果、徐々に間違えず踊れるようになっていく。

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人前で踊った経験なんてない記者だったが、人間とは不思議な生き物で、緊張にも段々慣れていき、むしろ刺激が楽しくなった。

もちろんすべてのお客さんがニコニコ楽しんでいるわけではないが(見てるほうも暑いので、苦しそうな人も多い)、中には内輪をあおいでくれたり微笑んでくれる人もいるのだ。

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(日焼け具合は現地の漁師にも負けていない岡田氏)

一緒に参加したメンバーともどんどん打ち解けていった。自然と一体感が生まれていくあたり、まさに大人も楽しめる大運動会だ。

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移動の疲れもあり、1日目は必死。終わる頃にはヘロヘロで晩飯を食べる気力もなかったが、2日目には心からよさこいを楽しめるようになっていたのである。あれだけ踊りを毛嫌いしていた記者が、だ。

もっとも、踊る度に全身汗まみれになり、体力的にもかなりキツかったのだが、テンションがおかしくなってくるとそれすら楽しくなった。


■自分自身と向き合う瞬間

(帯同させてもらった四国銀行の地方車)
(地方車。これが大音量で音楽を流し踊り子を先導する)

とくに感動したのは両日、最後の演舞場。夜になってライトアップされた通りを、光のほうに向かって進んでいく瞬間だ。最初は細目にしないと眩しいほどだったが、踊るうちに慣れて、なんだか自分がスポットライトを浴びているような気持ちになった

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この頃には沿道のお客さんたちに笑顔を振りまく余裕も生まれ(下手な奴に振りまかれて困った現地の人がいれば本当に申し訳ないのだが……)、決めのポーズをしたりしていた。気分は、誇らしげに運動会で踊った小学生のよう。

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そんな恍惚感の中で思い出したのは、自分が「リズム感が皆無なこと」をコンプレックスに感じるようになったきっかけだった。不思議なもので、自分はもともとそこに苦手意識を持っていなかった。むしろ、小学生のとき、運動会のダンスはかなり楽しんでいたほうだった。

しかし、あるとき、親族との会話の中で自分のダンスが明らかにぎこちなく、上半身と下半身が連動していないことを告げられ、一気に苦手意識を持つようになった。

いや、これは別に珍しい話でもなく、記者のようにもともと何も考えずに楽しめていたのに、誰かに下手と言われてコンプレックスを抱き、挑戦を避けるようになる人は、意外と多いのかもしれない。

そんなことを頭の片隅で考えているうちにゴールに近づき、一団は眩しく輝く光に包まれていった。


■リズム感ゼロでもよさこいは「踊れる」

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(区間によっては「輝いていた人」にメダルが渡される。後半になるとほとんどの人がもらうので事実上の「頑張ったで賞」)

本場で2日間過ごした結果、「よさこいを踊れるようになった」と言えるのかと言うと、正直なところよくわからない。巧拙で言えば今もなお「ド下手」の部類であることは確実だからだ。

しかし、一方で「自分は心からよさこいを楽しく踊った」というのも、また紛れもない事実なのである。肉体的にも精神的にも熱を帯びた世界で歌い踊る体験は、記者にとってまさしく未知の世界であった。

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そして、同時に高知の人々は踊り下手な人に対しても心が広かった。もちろん、綺麗なよさこいを実現するために練習はガチになったりもしたが、「最後は楽しむことが一番!」とこの旅行中、何十人から聞いたかわからない。

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義務教育でダンスが必修化した結果、苦しんでいる子供はたくさんいるだろう。この記事を読んでいる中にもいるかもしれない。

そんな子供は、ぜひ一度高知に行き、よさこいを踊ってみればどうだろうか? そうすれば、記者のように忘れていた「楽しむ心」を取り戻すことができるかもしれない。

優劣の比較よりももっと素敵な、馬鹿みたいに楽しい世界がそこにはある。

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(取材・文/しらべえ編集部・岡本拓 協力:高知県地産外商公社