アスリートを悩ます「侵入マニア」 F1サーキットに乱入も
リオ五輪女子マラソンで、沿道の観客がコースに侵入した。
幸いこの観客は警察官に取り押さえられ、競技は難なく進行。だがマラソン選手の走行を阻止するという行為は、決してあってはならない。単独のランナーが長距離を駆け抜けるこの競技は、外からの妨害に遭っても仕切り直しができないのだ。
しかし残念なことに、それを理解した上で妨害行為に及ぶ「乱入マニア」は確かに存在する。
■命知らずの元聖職者
リオ五輪の開会式で最終聖火ランナーを務めたのは、マラソンのバンデルレイ・デリマ選手だ。
デリマ選手は2004年のアテネ五輪で、アイルランド出身の元聖職者ニール・ホランに走行を妨害された人物。だがそれがもたらした結果に異を唱えない態度が、「真のスポーツマン」として評価された。
ところでこのニール・ホランという男は、国際的にはあらゆるスポーツイベントに乱入した「要注意人物」として知られている。彼はアテネ五輪より前、2003年のF1イギリスGPのサーキットに侵入。
猛スピードで疾走するレーシングカーを前に、ホランは「聖書を読め」と書かれたプラカードを掲げ立ちはだかった。そのため、レースは大混乱。セーフティーカーが先導する事態に。
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■趣味は「ジャンプ」
乱入といえば、ホランに並ぶ有名人がもうひとり存在する。
スペイン出身のジミー・ジャンプだ。
この男はホランとは違い、宗教的な意味合いで活動しているわけではない。どうやら数々のイベントを妨害することがジミー・ジャンプのライフスタイルのようで、彼自身はそうした行為を「ジャンプ」と呼称している。
サッカーの国際的大会やF1、ファッションショー、テレビ番組などに相次いで乱入。結果ヨーロッパ各国のサッカー協会などから会場内立入禁止の制裁を受けている。その上、巨額の罰金を課されて借金まみれに。
ジミー・ジャンプは自身の行為に美学を与えているかのような発言を繰り返しているが、その実態は「ただの厄介者」である。この男が競技場の英雄になることは、決してない。
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■侵入を阻止できるのか?
こうした「乱入劇」を見てみると、実行者に対しての憤りもさることながら警備関係者のスキも見えてしまう。
現に此度のリオ五輪女子マラソンでも、現場の警備が完全でないのではという批判がある。テロ対策のためコース脇に銃装の兵士が立っているとはいえ、その分「テロリスト未満」の侵入者への対策が疎かになっている可能性がある。
ニール・ホランやジミー・ジャンプのような男が出てきたら、リオの警備当局はその行為を阻止することができるのだろうか?
そうした心配が、今も五輪会場につきまとっている。
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(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一)