「この世界は真っ平らだ!」現代に語り継がれる地球平面説

2016/08/22 05:30

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※画像はYouTubeのスクリーンショット

我々が住んでいる地球は、球形である。

もし大の大人が子供に対して「地球は“球”ではなく平面だ」と言ったら、少なくともこの日本では笑われるだろう。だが、「この世界は平面である」と真面目に主張している団体が今でもあるのは事実だ。

「地球平面説」は、決して死に絶えてはいない。



 

■「世界の果てには滝がある」

地球が平面ではなく球体だということは、紀元前から唱えられていた。学者や聖職者の間での受容も割と早く、中世にはほとんどの天文学者が地球球体説を採っていた。

だがそれは、当時の最高学府を卒業した知識人だけの話である。平民の間ではやはり「地上は平面」で、そのためヨーロッパ各国の王室が探検航海を企画してもなかなか水夫が集まらなかった。「世界の果てには巨大な滝がある」と思われていたからだ。

船長は知識人だから「地球は球形だ。滝なんかない」と説明するが、平民出身である水夫たちはそんな言葉に納得などしない。だからこそ、コロンブスの第1回航海は水夫の反乱をどうにか抑えながらの船旅だったのだ。

だが、マゼランの船団が実際に地球を1周したことで地球球体説は実証された。この時マゼラン船団の航海日誌を書いていたアントニオ・ピガフェッタは、日誌の日付のズレから時差を発見する。こうしたことも、地球が球形でなければあり得ない。

だが、マゼランの航海から500年経った現在でも、『地球平面協会』という組織が存在する。


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■南極は「氷の壁」

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※画像はYouTubeのスクリーンショット

地球平面協会の主張を、ここでまとめてみよう。

・我々が「地球」と呼んでいる世界は、皿かコインの表面のように平らである。

・平面の中心は北極で、外周は南極である。すなわち、我々の世界は南極という名の「氷の壁」にぐるりと囲まれている。

・国際連合の旗のデザインが、まさに「平面の地球」である。

「世界の果てには滝がある」という部分は「リング状の南極」に置き換わっているが、こうした主張を唱えている団体が現代にあるのだ。

彼らに言わせれば、アメリカやロシアが宇宙にロケットを飛ばしているのは「巨大な情報操作」である。実際にそのようなことはなく、「球形の地球」の画像なども捏造だという。


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■やっぱり地球は丸かった!

だがそうは言っても、世界史は「地球は球形」として動いている。

それは日本も例外ではない。たとえば、戦国時代に鉄砲を持って種子島に到来したヨーロッパ人はポルトガル人である。フランシスコ・ザビエルはバスク人だが、ポルトガル国王の依頼で東方宣教を始めた人物だ。ではなぜポルトガルなのか。

それは当時、アジアはすべて「ポルトガル領」だったからだ。1494年にスペインとポルトガルの間で締結されたトルデシリャス条約は、カーボベルデ諸島の西370レグアの距離にある子午線で領土を分割するという内容のものだ。

だが地球が球形だということが分かってくると、反対側の子午線についても触れる必要が生じた。そこで1529年に締結されたのがサラゴサ条約である。これに従うと、日本は北海道の一部を除いてポルトガルの領土になるのだ。もっとも、サラゴサ条約締結当時の日本は「未発見の地」であったが。

だからこそ、ポルトガルは日本に対して多くの船団と航海士を送り込んだのだ。

あの織田信長は、地球が球形だともちろん知っていた。このことをカトリック宣教師から説明された時、信長は「理に適っている」と言って瞬時に要点を飲み込んだエピソードは有名である。

この地上が「皿」ではなく「ボール」であることは、歴史学の面からも証明されている。

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(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一

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