豊洲の地下から怪獣が!?汚染から生まれてしまった公害怪獣たち
こんにちは、モノブライトのベース、出口です。
築地市場の移転先となる豊洲市場の建物直下で、適切な土壌汚染対策が施されていなかった問題が持ち上がっています。
築地市場の老朽化などの問題から移転が必要→商圏などの立地条件を満たす場所が豊洲だったが、元々は工場跡地で土壌汚染がひどい→じゃあ綺麗な土を盛って(盛土)対策しましょう→あれ、施設の下が空洞だ、土盛ってないじゃん! 話が違う!
大まかにまとめると、このような事態になっています。
莫大な工費がかかる一大事業、長期にわたる移転プランであることから簡単には問題の責任所在を明確にできないのは理解できます。
でも、私たちの納めた税金がどのように使われているのか、普段口にする食品の安全性は担保できるのかを考えると、東京都には慎重に検討していただきたいと思います。
豊洲市場の盛土問題にある土壌汚染、そもそもは高度経済成長期における公害問題に端を発します。
社会の授業でも習った記憶があると思いますが、およそ60年ほど前に社会問題になった公害問題です。
時代の社会問題を物語のテーマにすることが多い特撮作品でもこの公害問題はテーマとして取り上げられ、深く考えさせられる作品があります。
今回は人類の発展の影である公害問題によって生まれた怪獣をご紹介したいと思います。
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■人間の業が産み出した、究極の公害怪獣
名実ともに公害怪獣の頂点に君臨するのが、ゴジラ対ヘドラ(1971年)に登場する、公害怪獣ヘドラです。
ヘドラの本体は宇宙の鉱物起源の生命体。それが日本へ飛来し、都市近海に堆積していたヘドロや汚染物質と結合し大きくなったのがヘドラです。
怪獣と言えども見た目が「ヘドロの塊」であることから、生物らしさは全くありません。ヘドラは工場の煙突から排出される有害な排気を吸い込んで体内に蓄積させ、体から硫酸ミストを拡散。
ヘドラが通った後はあらゆるものが溶解され、何も残らなくなってしまいます。ヘドラの存在自体が公害問題の縮図となっているのです。
ヘドラと同じく公害問題が直接的なきっかけで誕生した怪獣が、帰ってきたウルトラマンの第1話「怪獣総進撃」に登場するヘドロ怪獣ザザーンです。
劇中ではすぐにやられてしまう怪獣なのでそれほど取り沙汰されることはありませんが、ザザーンも「人類の繁栄における影の象徴」であることには変わりありません。
こんな怪獣を生み出してしまうほど環境汚染は酷かった、と言えます。
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■人間が埋め立てた場所に住んでいた怪獣
ヘドロ怪獣ザザーンに続き、帰ってきたウルトラマンから第22話に登場する「プラスチック怪獣ゴキネズラ」も、人間の業の被害者(被害怪獣)と言えます。
名前のインパクトが強烈ですが、東京のゴミ埋立地「夢の島」の地下に生息しプラスチックを食料として潜んでいました。
しかし、ゴミ山の火災の鎮火に使われた消化剤の影響で地中の酸素が断たれてしまい地上に現れたところを撃破されてしまします。
自然に還らず半永久的に残ってしまうプラスチックを食べてくれる怪獣であることから、共存、共生の余地が語られることなく倒されてしまったのは実に惜しく思います。
とは言え、共存を考えるなら「ゴキネズラ」という名前は再考したほうが良さそうですね。
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■終わることのない公害問題
他にも公害怪獣は存在し、そのどれもが人間が落とした影の部分を内包している怪獣です。公害などの環境汚染への対策は浄化と埋め立てしかありません。
特に埋め立ては、理論上は無害になるだけで掘り起こせば地中の有害物質はそのまま表出してしまいます。そのため、粗雑な工法、工事では何の意味もありません。
豊洲市場地下の盛土問題にも同じことが言えるでしょう。
今回の問題については建築などの専門的な用語が多く、工事の概要をすべて理解するには難解な部分もありますが、私たちも「本当に安全性が保証されたプランなのか」ということは注視するべきだと思います。
私たちの食生活はじめ、普段の生活の中で「何か起こってから」では遅いのです。豊洲の地下から公害怪獣が、などということがないように願うばかりです。
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(文/モノブライト・出口博之)