「つり革さわれない世代」への配慮? 図書館に広まる書籍の消毒
知識の泉・図書館。行政が設ける公共図書館のほか、個人や法人が運営する図書館もある。
図書館法では「図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、保存して一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資することを目的とする施設」と定義されている。
「一般公衆」というだけあって、図書館には毎日、多くの人が訪れては蔵書を手に取り、閲覧することになる。貸し出しを受ければ持ち帰ることもできる。図書館法の定義に照らせば、多くの利用があればあるほど喜ばしいことだが、不特定多数の人が蔵書を取り扱うことに懸念を寄せる向きもある。
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■「書籍消毒機」とは
書籍消毒機とは、その名の通り書籍を消毒する機械。扉が付いた箱形の筐体で、一見、電子レンジや小型冷蔵庫に見えなくもない。内部へ書籍を収納してスイッチを入れると、紫外線で除菌を行う仕組みだ。
図書館設備・用品の総合メーカー「キハラ」では「除菌BOX」という商品名で販売。価格は税別213,800円と、1,500円の単行本なら140冊ほど購入できる計算で安くはない。 それでもコストをものともせず、「書籍消毒機」を導入するところが増えているようだ。
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■菌はいるのか?
とはいえ、書籍のほとんどは紙や樹脂ででできている。常に乾燥した状態だから利用者の手から雑菌が移り、付着したとしても活性できない。すなわち消毒するほどではなく、 気にすることはなさそうだ。
ただし蔵書には、ページに髪の毛が落ちていたり、しおり代わりに使ったのだろうか、レシートなどが挟まっていることもある。こうしたマナー違反に接してしまうと、なんとなく不潔な感じが否めないのも事実ではある。
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■「つり革さわれない」世代への配慮?
なお「しらべぇ編集部」の調査によると、同じく不特定多数の人が触れることになる「電車のつり革が触れない」という人の割合は9.5%。10人に1人程度が「気にする」ようだ。
性年代別では、男女を問わず若い人ほど「気にする」人が多くなる。書籍消毒機の導入が増えている背景には、若い世代を呼び込みたい図書館側の「サービス向上意識」が見え隠れするようで興味深い。
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(文/しらべぇ編集部・前田昌宏)
【調査概要】 方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
調査期間:2015年12月22日~2015年12月24日
対象:全国20代~60代の男女1,353名 (有効回答数)