「築地→豊洲」移転で寿司やマグロの価値は下がる?高年収層は圧倒的に…
混迷をきわめる築地市場の豊洲移転問題。
ここまでこじれた発端は、施設建設が始まる前、2008年の調査で敷地全体の36%の土壌・地下水から環境基準を超える有害物質が検出され、ベンゼンは環境基準の最大4万3000倍、シアン化合物も最大860倍にも及んでいたにもかかわらず、「汚染対策をした」という前提で建設が進められたことだ。
実際に行われた盛り土などの汚染対策は、東京都の発表と異なり、対策後も有害物質の検出が報告されている。
9月29日に発表された東京都の調査で、ベンゼンは環境基準の最大1.4倍、ヒ素は同1.9倍。10月15日には、「施設の地下空洞の大気から国の基準値の最大7倍ともなる水銀が検出された」と発表されている。
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■80年を超える「築地ブランド」
一方、1935年に開設された築地市場は、80年をこえる歴史と人が積み上げてきた、世界に誇る「食のブランド」だ。
築地市場には、今も多くの外国人観光客が訪れ、「築地」の名を冠した飲食店も数多い。
汚染対策後も有害物質が検出される豊洲への移転は、食の安心・安全のみならず、こうしたブランドへの悪影響はないのだろうか。
しらべぇ編集部は、全国20〜60代の男女1,365名に調査を実施した。
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■5割が「寿司やマグロのブランド」に悪影響
「寿司やマグロ等のブランドに悪影響がある」と答えた人は、およそ5割。男性のほうが、わずかに割合が高い結果となった。
さらに個人年収別で見ると、年収1000万円以上の層では、7割以上が悪影響を懸念していることがわかる。
寿司や本マグロなどが「築地であること」に価値を感じてお金を払ってきた人たちが、豊洲新市場で流通した魚や青果を同じように評価する可能性は、現段階ではかなり厳しいと言っていいだろう。
そもそも、ここまでブランドや食の安心・安全イメージを毀損しない再開発はなし得なかったのか。今一度、問い直されるべきではないだろうか。
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(取材・文/しらべぇ編集部・タカハシマコト)
【調査概要】
方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
調査期間:2016年9月23日~2016年9月26日
対象:全国20〜60代男女1,365名(有効回答数)