ヒョウ柄より強烈? 派手好みの関西に「金ぴか通勤列車」デビューへ
大阪府に路線を持つ「泉北高速鉄道」(和泉市)が10月26日、新型車両「12000系」の導入を発表した。デビューは来年2月を予定。乗り入れ先の南海電鉄・難波駅(大阪市)と線内とを結ぶ座席指定特急「泉北ライナー」に使用する。
■地味な路線「泉北高速」
泉北高速鉄道は、高度成長期に開発が始まった「泉北ニュータウン」「トリヴェール和泉」へのアクセスに建設された鉄道。路線延長は14.3キロで、南海高野線の中百舌鳥駅と線内の和泉中央駅を結び、どちらかといえば地味なイメージの路線だ。
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■看板列車「金ぴか」に
ニュータウンが「現役」だった時代には、収容力が大きい通勤型車両に満載した人々を大阪のビジネス街へ運ぶことが使命だった同鉄道も、需要が一段落して以降は方針を転換。南海から借り受けた難波と林間田園都市(和歌山県)を結ぶ特急「りんかん」型車両・11000系を使い、座席指定特急「泉北ライナー」を朝夕と夜間に設定している。同鉄道で最も優等種別にあたる「看板列車」だ。
今回、デビューが決まった12000系4両編成1本は、泉北ライナー向けに同鉄道が建造し運行するもの。主な仕様は南海本線の特急「サザン」型車両・12000系がベースで、南海とは形式名称も同じ12000系だが、「外観と車内のデザインを大きく変更して個性あるものとした」(同鉄道)という。
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■「派手好み」ではあるものの……
9680レ DE10 1189+泉北高速鉄道12000系12021F 甲種輸送 逗子駅停車中。 pic.twitter.com/OiECilfro4
— powerskyaccess (@powerskyaccess) October 29, 2016
その「個性ある外観」で目を引くのは、金ぴかに輝くゴールドをベースに青と黒のラインをあしらった「煌(きら)びやか」(同鉄道)なカラーリング。沿線の堺市は室町時代から安土桃山時代にかけて大いに栄えた交易都市で、南洋との貿易で巨万の富を得た堺の豪商・呂宋助左衛門を描いたNHK大河ドラマには「黄金の日日」(1978年)という作品もあった。
とはいえニュータウン地区は、堺の旧市街地とは遠く離れた丘陵地帯に点在。同鉄道を利用して泉北ライナーに乗車するのも「黄金」とはほど遠い一般市民がもっぱらになる。
なお現状でも泉北ライナーのイメージカラーは「ゴールド」。借り受けた南海車両の一部に金色のステッカーを貼り付けているほか、路線案内図のラインカラーも「金色」である。
ヒョウ柄に代表される関西人の派手好みが、一般的にはステンレスやアルミの銀色が主流になっているはずの電車にまで波及したとすれば興味深い。
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(文/しらべぇ編集部・前田昌宏)