ホームレスが売る雑誌『ビッグイシュー日本版』に取材して分かった貧困の実情

ホームレスの自立支援のための活動を精力的に行っている。

社会

2016/11/02 07:30

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ホームレスの方へ仕事を提供し、自立を応援するための事業として生まれた雑誌『ビッグイシュー日本版』。

駅周辺で販売されているのを見かけることはあるが、買ったことが無い人にはどんな人が売っているのか、どんな内容なのか、知る機会がほとんど無い。


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■ビッグイシューは本当に自立の助けになっている?

だが、一度ビッグイシューを買った人は口を揃えて「350円とは思えないぐらい内容が充実していて面白い」という。

面白い雑誌を買ってホームレスの方を支援できるのならぜひ買ってみたいが、本当に自立の助けになっているのだろうか?

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そこで東急線溝の口駅前でビッグイシューを販売している男性・上野誠さんへインタビューを行い、仕事の内容や収入などについて、詳しく伺ってみることにした。

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Q.1日の収入はどれぐらいですか?

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「1冊売れるごとに350円の売り上げのなかから、180円が販売者の収入になるんです。


今日(2016年10月27日)は、朝8時20分から14時過ぎまでで22冊の売り上げ、私の収入としては3,960円ですね」



Q.ずっと立ち仕事ですがつらくは無いですか?

「日雇いの仕事と比べると体力的にも精神的にもはるかに楽です。


僕は実は精神的な病気があり、それまでの仕事もそのせいでうまくいかなくなることがあったのですが、手帳や年金などについては知識が無かったのですが、ビッグイシュー基金のサポートで障害者年金ももらえることになりました。


販売の仕事も収入は不安定ですが、体調に合わせて自分で仕事をする日を決められるので、明日は仕事がないかも、という心配に悩むことがなくなりました。


販売する場所にもよりますが溝の口駅前は屋根があるので雨が降っても大丈夫ですし、仕事の時間も自分で決められるので…」


Q.路上生活からは抜け出せたのでしょうか?

「雑誌販売を始めてから、ネットカフェに宿泊するお金がかせげるようになりました。」


Q.販売者になったきっかけは何ですか?

「3年前は日雇いの仕事をしていましたがうまくいかず、一度は生活保護を受けたものの担当者と意見が合わなくて、保護を切って路上生活をするようになりました。

そんなときに行った炊き出しでもらった『路上脱出ガイド』で、ビッグイシューの情報を知り土曜日に開催される販売者登録会へ行きました」


Q.それでも生活保護を受けていたほうが楽だったのでは?

「確かに楽だったかもしれないですが、やはり『人のお金で暮らしている』という気持ちがどこかに生まれ、コンビニで買物するときくらいしか人と言葉を交わすこともなく、孤独でとてもつらい毎日でした。

それに比べるとビッグイシューを販売してからは自分で得たお金でご飯を食べる喜びを感じられるようになり、購入してくれるお客さんとの会話も生まれ、毎日がとても楽しくなりましたよ」


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■自分で得たお金でご飯を食べる喜び

上野さんのお話を聞く限り、ビッグイシューの販売によって路上で寝る生活から、暖かいネットカフェに泊まれるほどの収入を得て路上生活を脱出することはできたようだ。

さらにNPO法人ビッグイシュー基金のサポートにより障害者年金も受給できるようになったことで、安定したアパート暮らしも考えられるようになったらしい。

また「自分で得たお金でご飯を食べる喜びを感じられるようになった」というコメントには非常に心打たれるものがあった。

路上生活を余儀なくされていた人を金銭や食事の提供だけでなく、しっかりと自立できるよう支援しているビッグイシュー、もっと詳しく知ってみたい…。

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