ブームからの定着か?オワコンか? ゆるキャラの今・中編
テレビ露出の減少はあるものの、変わらぬ売れっ子ゆるキャラの人気ぶりについて紹介した、ゆるキャラの今・前編。
今回は「生き残るゆるキャラと消え行くゆるキャラの違い」について、ゆるキャラ研究家でキャラクターコンサルタントの犬山秋彦氏に話を聞いた。
■地域貢献が継続の基本
都内でも巣鴨地蔵通り商店街公式イメージキャラクター「すがもん」や、戸越銀座商店街のマスコットキャラクター「戸越銀次郎」など、地元商店街に密着したゆるキャラが地域の人々に愛されている様子が見られる。
犬山:地方でも、例えばここ数年、『ゆるキャラグランプリ』で常に上位をキープし、今年ついにグランプリを獲得した、高知県須崎市の「しんじょう君」は良い例で、人気、知名度、地域への貢献度が共に高く、バランスのとれたキャラクターです。
地元でのイベントには市民の数を超えるほどの動員数を誇り、2015年度の須崎市へのふるさと納税寄附金額は、5億5,000万円を超えました。
ひこにゃん、くまモン、ふなっしーのように、誰もが知っている「スターキャラ」は誕生しにくくなっていますが、逆にいえば地に足の着いた活動で、本来の目的である地域貢献を果たしているキャラは、きちんと活動を存続していますね。
関連記事:イジリー岡田、『ギルガメ』で定着したエロキャラに苦悩 「高速ベロ封印で8年仕事なし」
■消えるだけでなくモラルハザードも
地域に貢献し、地元で愛されるゆるキャラがいる一方、地域の負担になってしまうゆるキャラも出てきているという。
犬山:「他の自治体が作っているから、うちも…」といった方針で、安易に参入したキャラは目的も戦略もあいまいで、ただ予算を食いつぶすだけの存在になってしまっています。
こうしたキャラが、「ゆるキャラブームは終わった」と吹聴したがる一部のメディアにとって、よい取材対象となっている感じですね。
さらに最近はキャラを名乗るハードルが下がったことによる、困った現象も。
犬山:ただ箱をかぶったり、ハロウィンのコスプレのような衣装でも、キャラを名乗れるほど、参入障壁は下がってしまったので、キャラクター自身のモラルハザードが起きつつあります。
キャラクターを名乗れば多少なりともファンがつき、お金を払ってくれお客さんも現れます。
昔の「バンドを組めばテレビに出られて、女の子にモテる」に近いノリで、今は着ぐるみさえ作れば、ある程度ちやほやされがちな状況があるため、微妙な人たちが現れているのも問題かもしれません。
次回「ブームからの定着か?オワコンか? ゆるキャラの今・後編」では、昨今のゆるキャラ界の変化、そして“これから”について、解説してもらう。
・合わせて読みたい→ブームからの定着か?オワコンか? ゆるキャラの今・前編
・参考:『ゆるキャラ論』(ボイジャー)
(取材・文/しらべぇ編集部・くはたみほ)