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インドネシアのコモドドラゴンが暮らすのは「ゴミだらけの島」

社会

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インドネシアにあるコモド島。ここはコモドドラゴンが生息する場所として、日本でも知られている。

巨大なバッファローをも仕留めてしまうこの凶暴な爬虫類は、100年ほど前までその存在自体が伝承の域を超えていなかった。20世紀に入ってから、コモドドラゴンの学術的調査が行われるようになったのだ。

今ではコモド島とリンチャ島を含むコモドドラゴン生息地域は、世界自然遺産に登録されている。

 

■世界遺産にゴミ溜めが

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ところが、このコモド島は決して「自然豊かな緑の島」ではない。

インドネシアでは現在、市民の捨てるゴミが社会問題になっている。

この国の市民には、最近まで「ゴミを決められた場所に捨てる」概念がなかった。都市部に住むひと握りの自覚的な人々はともかくとしても、自分の出したゴミをそのまま路上に投げ捨てることが今も横行している。

それは地方島嶼地域でも同じ。船上の漁師は、様々なゴミを海中に投げ捨てる。そしてそのゴミは潮に乗って島に流れ着く。それを島民が拾ったとしても、島内に処理施設がないから海岸付近にゴミを集積するしかない。

 

コモド島でも、そうしたことが発生しているのだ。まずは下の写真をご覧いただきたい。

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ゴミの溜まり場の横を、コモドドラゴンが歩いている。この度、しらべぇ取材班はインドネシア政府主催の視察旅行に参加したが、その一環で訪れたコモド島の衛生環境はお世辞にも良好とは言えなかった。

 

■対照的な「表と裏」

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コモド島の近くにあるパダール島でも、そうした問題が発生している。

パダール島は幅の狭い接続部で一島を形成。観光客はこの接続部に沿うビーチから上陸するのだが、その反対側のビーチは目を覆うほどの惨状だ。

文字ではやや分かりづらいので、画像を使って説明しよう。

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黒い丸囲みが、観光客の上陸地点。ここは清掃が行き届いており、割と良好な衛生環境だ。だがその反対側、赤い丸囲みの海岸を望遠レンズで取ってみよう。

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神秘の大絶景のイメージを壊してしまうゴミの量である。観光客の目に届かない部分のゴミは一切手付かずなのだ。

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広域で見れば確かに素晴らしい光景だが、いざ近づいてみると漏れるのは嘆きのため息ばかりである。

これがこの国の「今」なのだ。

 

■エメラルドの汚点

インドネシア政府は現在、外国人観光客の誘致に必死である。そのために此度の視察旅行が企画されたのだ。

だが、そんな政府の思惑は簡単に覆されてしまうだろう。島々の景観は、もはや人間の出した汚物によって台無しになっている。

もちろん、コモドドラゴンは「現代に生きる化石」と言うべき貴重な生物。ピンク色の美しいビーチも、緑色の海もコモド島の周辺に存在する。だが問題は、市民のポイ捨てにより美しい大自然が侵食されている点だ。

「洋上のエメラルド」とたとえられるインドネシアは、このままゴミに埋もれてしまうのだろうか。

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(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真

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