日本人横綱誕生なるか?大相撲九州場所は「混戦模様の土俵」
大相撲九州場所は、大関豪栄道の綱取りが期待されている。
今年に入り、「久々の日本人横綱誕生」の話題が叫ばれてきた。これは今年初場所の琴奨菊優勝がきっかけだが、残念ながらあとが続かなかったのだ。
琴奨菊と稀勢の里、どちらも大いに期待されながらも綱取りの可能性を皆無にしてしまった。
だからこそ、豪栄道にはすべての不安を払拭して土俵に上がることのできる「精神力」が求められる。
■白鵬の時代は「過去の話」
九州場所はまだ始まったばかりだが、もはや横綱白鵬に「絶対的威力」はない。
2日目、碧山との一番では立ち会いの圧力で白鵬がぐらついた。横綱の持ち味はサスペンションのような「相手の威力を吸収する肉体」だったはずだが、この取り組みではそれがまったくなかった。
最終的には碧山の自爆のような引き落としで勝てたものの、白鵬の全盛期はもう過去のものではないかと感じさせてしまう一番だった。
すでに白鵬は盤石ではないということ。さらに日馬富士、鶴竜のモンゴル人横綱は「圧倒的に強い力士」とは言いづらい。とくに鶴竜は、2年前に綱を締めてからまだ1度しか優勝していない。
すると、その後続である大関陣が台頭するのは当然の現象だ。ところが、それは必ずしも「日本人横綱の誕生」を示すものではない。
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■土俵に変化が
先場所の白鵬欠場は、「近未来の土俵」を予言しているようだった。
白鵬がいないことにより、この時角番大関だった豪栄道が優勝。「豪栄道が目覚めた」と取るか「白鵬が稼ぐべきだった星が豪栄道に行った」と取るかはそれぞれだが、いずれにせよ白鵬がいない土俵上は混戦模様になるらしい。
つまり、「絶対君主」のいない世界だ。毎度のように白鵬が天皇賜杯を掲げていた時代は終わりを告げ、今や「第4日曜日のスター」の顔はひとつではない。
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■関脇・小結に期待
そうである以上、先場所のような「角番大関の偉業」は今後珍しいものでなくなっていくはずだ。
だから、ここで見方を変えてみよう。「誰が横綱になるのか」ではなく、「今の大関陣を脅かす関脇・小結は誰か」という発想だ。
名を挙げれば、高安、隠岐の海、御嶽海、玉鷲の4力士。今場所の見どころは、じつは「横綱・大関VS関脇・小結」ではないか。
横綱と大関の「力の格差」が縮まりつつある今、それに対して現在の関脇・小結がどう食い下がるのかというのが九州場所の隠れたテーマだ。
このように、大相撲というのは様々な観戦の仕方ができる。それもまた醍醐味だ。
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(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一)