『逃げ恥』好演の星野源 音楽家の魅力はどろどろと二面性?
テレビドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)での演技が好評、『恋』もYouTube再生回数が3,000万回を突破し、エンディングに流れる出演者の恋ダンスとともに話題となっている星野源。
近年はCMや映画のタイアップも多く、じつは役者としてのブレイクより先にミュージシャンとして、人気を集めていた。なぜ星野源の曲がここまで愛されるのか、音楽家としての魅力を紐解いてみたいと思う。
■どろどろした思いが渦巻く学生時代
音楽好きな両親の下で何不自由なく育った星野が、人生で初めてつまづいたのは小学3年生のとき。体育の授業中の“お漏らし”がきっかけでいじめられるようになり、パニック障害を発症。
中学からはギターを弾き始め、作曲もしたが、学校生活で溜まったストレスで呪いのような曲ばかりできたのだとか。
高校時代には、家からも出られなくなってしまうが、クレイジーキャッツの曲『だまって俺について来い』に救われたという。
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■歌に自信がない──インストバンド・SAKEROCK時代
20歳の頃、自分のバンドを組もうとインストバンド・SAKEROCKを結成。インストバンドにした理由は、声に自信がなかったから。
しかし、インストバンドといえど、大事なことは歌うこと――という想いで活動をしたため、楽器の演奏中も「歌う」ことを欠かさなかったそうで、「今までにない音楽」という方向性にコアなファンがついた。
星野は高校時代、細野晴臣のアルバム『泰安洋行』に夢中になる。そして、細野も影響を受けたエキゾチカという音楽の中心人物であるマーティン・デニーの音楽にも影響を受け、彼の『Sake Rock』という曲をバンド名にした。決して酒が好きだからではない(むしろ飲めない)。
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■29歳で始めた「歌う」星野源時代
いつか人前で歌いたいと心の底で願ってはいたが、声と歌に自信がなかったため“人前で歌うなんて無理だ”という、葛藤を抱えていた。
しかし、あるライブで弾き語りをすることになり、自主制作盤CD『ばかのうた』の制作をきっかけに、「歌う」星野源が知られるようになる。
当初、ギターの弾き語りが星野源の基本スタイルだったが、自信がないと言うその歌声は、聴く人の心をそっと撫でるような優しさがある。
しかし歌詞ではハッとさせる言葉を綴っているなど、ギャップに驚かされるのだ。
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■病気、そして今
歌う星野源が評価され、文筆家やラジオのDJ、俳優とマルチに活躍していた2012年にくも膜下出血を発症。
その後、この病気をきっかけに「もうつらいことはいい」という思いで活動を再開。2016年には、空前の恋ダンスブームを巻き起こす『恋』を発売する。
もともとディアンジェロなどのブラックミュージックにも魅せられていた星野は、ファンクやディスコ、ネオソウルなども混ぜた、日本人である星野が体現する「イエローミュージック」を表現していくことになる。
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■結局、星野源の魅力って何なの?
星野源の音楽家としての魅力について、Twitterでの声を集めてみると…
役者 星野源は別世界で雲の上をふわふわしてるような存在
音楽家 星野源はいつも生活の中にあって会いに行くこともできる遠いけど身近な存在
文筆家 星野源は程よい距離で時に答えをくれる存在
ANN 星野源は至近距離からマシンガンをぶっ放してくるのでいい加減にしろと言いたくなる存在— こと@sunny (@gennoko0510) 2016年11月18日
@KirAKirAyuge
きらちゃんこんばんわ
音楽家から入る人と
俳優から入る人で
想いもそれぞれ
ワタシは
独特なメロディ、リズムや
言葉選びが好きで
オタクと公言したり
日常の延長線上に
下ネタがあったり
人間臭いのに
サラッと素敵な事を企む
星野源が好きです— エリ (@FoHinalisa) 2016年9月25日
録画してた星野源さんの「YELLOW VOYAGE」を見てたところ、インタビューで自分の歌は「近くで囁くように歌う距離感」という言葉があって、まさにそうだな!と。その一方で、ELEVENPLAYやニセさんを迎えた華やかなステージングも魅力的で、この二面性こそが源さんだなぁと。
— Acco (@akatsuki_akari) 2016年8月31日
星野源の曲には初めて聞く人にも楽しめるものが増えてきて。見事にフェス栄えするから、知らない人でも楽しめる最強の人になったと思う。ワンマンではワンマンで、コアなファンの心を掴む曲があるから、そういう二面性がまたズルいって思ってしまう。ズルい男だよ。
— あに on (@aaanyooooon) 2015年8月2日
あと、星野源の「SUN」もそういう歌だったりする。星野源曰く、「暗くも明るくも聴ける二面性のある曲」
— ∫ (@gorenshi) 2016年11月11日
星野の魅力のひとつは「二面性」。まず、一つひとつの曲を紐解くと、音楽に詳しい人にはおもしろいという。
一方で「わかる人だけおもしろい」ではなく、「わかる人はおもしろいし、わからない人でもおもしろい」というスタンスで音楽をつくるからこそ、多様性が求められる時代でも、J-POPのど真ん中で音楽を奏でられるのだろう。
現在に至るまでにはさまざまな困難があっただろうが、「辛さの中にも必ず面白いことがある」と信じ表現してきたからこそ、多くの人に共感されるのかもしれない。
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(取材・文/しらべぇ編集部・山吹彩野)