「目隠しスポーツクライミング」どう登る?「声の協力」が重要
2020年東京五輪追加競技のひとつ「スポーツクライミング」。先日行われた世界選手権・ボルダリング男子では日本の楢崎智亜(ならさき・ともあ)選手が優勝を果たした。
注目度が一気に高まる中、選手が目隠しで登るクライミング大会が開催されると聞き、しらべぇ取材班は会場へむかった。
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■目隠しクライミング競技会「見ざるチャレンジクライミング」
11月12日、東京・町田のクライミングジムNOSE町田店でNPO法人モンキーマジック主催の目隠しクライミング競技会「見ざるチャレンジクライミング」が行われた。
昨年、NPO法人の10周年を記念して行われ、今年が2回目。26組52名が参加した。
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■モンキーマジックの活動とは
「モンキーマジック」は、クライミングを通して、視覚障害者をはじめとする人々の可能性を大きく広げることを目的として活動しているNPO法人。
小林幸一郎代表は16歳からクライミングを続けていたが、28歳のときに進行性眼病が発覚、その後視覚障害となった。
しかし、障害の有無にかかわらずクライミングが楽しめることに気づき、外出が億劫になりがちな視覚障害者へのクライミング普及や、ユニバーサルな社会を目指す活動を進めている。
しかも、2014年、2016年とクライミング世界選手権・視覚障害(B1)の部で2連覇中。パラクライミング界のトップクライマーでもある。
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■目隠ししてどう登る?
視覚障害者のクライミングでは、次につかむホールド(持ち手)の方向・距離・形をナビゲーターが声を出して指示してあげる。クライマーの目の代わりになることが必要だ。
今回の競技会参加者は2人1組で申し込み、クライマーとナビゲーターを交代しながら壁を登っていく。最初はちょっと難しそうに思えるが、目隠しをつけて実際に体験すると、意外と登れる。
しかし、ナビゲーターの力がかなり重要と感じた。ナビゲートになれないと指示が遅れてクライマーの腕が疲れてしまう。
以前よりモンキーマジックでは、「視覚障害者と楽しむフリークライミング」と題した動画を公開。クライミングワールドカップ女子年間優勝経験者の野口啓代(のぐち・あきよ)選手とともに、サポート方法を解説している。
また、ふだんは高田馬場、渋谷、つくばのボルダリングジムで月に1回ずつ、交流型のクライミングイベントを開催。
クライミングが初めての人や、視覚障害者と接したことがない人でも気軽に参加できる内容になっている。
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■参加者の声
競技会に埼玉からエントリーした志賀さん夫妻は盲導犬といっしょに会場へ。「交流イベントも参加している。クライミングと同じくらい、みんなと会えるのが楽しい」と話してくれた。
また、上級者クラスにエントリーしたボルダリングジム「三鷹ジム」の店長・並木さん(写真1枚目)は
「高田馬場の交流イベントに参加したのがきっかけです。今日は店の常連さんと参加しました。
予選は命綱なしでしたが、決勝は10メートルくらいの高さなので命綱が必要で、登り終えて壁から手を離しロープにぶら下がると、自分がどのくらいの高さにいるのかわからなくて、ちょっとびっくりしました。
自分の店でも視覚障害者向けのクライミング教室を実施しています。今後もサポートできればと思います」
競技会は非常に盛りあがり、次回の開催が待たれる。
なお、来年1月22日には「パラクライミング日本選手権大会2017」が明治大学和泉キャンパスで開催される。日本代表の選考会も兼ねており、スポーツクライミング同様、注目が集まりそうだ。
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(取材・文/しらべぇ編集部・京岡栄作)