食べてないのに感染する恐怖!ノロウイルスを現役内科医が解説

2016/12/04 05:00

(deeepblue/thinkstock)
(deeepblue/iStock/thinkstock)

今年もノロウイルスの集団感染が相次いでいる。ノロウイルスによる急性胃腸炎で、毎年1万人以上が病院を受診することをご存知だろうか?



 

■生かきを食べてお腹をこわしたことがあるのは?

しらべぇ編集部が調査したところ、全国1,387人の男女のうち13.8%が「生かき」でお腹をこわしたことがあることが判明。

一度あたった人は次から警戒するはずだが、ノロウイルスの恐ろしいところは、生かきを食べていないのに感染することだ。

流行時期は二枚貝の生食を避けていた記者であったが、先日めでたく感染し、家庭内がバイオハザード化した。

以下、ノロ経験ありの現役内科医として解説する。


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■ノロウイルス感染症

ノロウイルスによる急性胃腸炎は、晩秋から春先に流行する。

おもな感染経路は、汚染されたかきなどの摂取によるに経口感染。数日の潜伏期を経て、嘔吐、下痢、腹痛、発熱などがみられる。

「ニワトリとタマゴ」のような話だが、嘔吐・下痢で下水に排出されたウイルスの一部が海へ入り、二枚貝に蓄積され、再びひとに感染すると考えられている。

感染力が非常に強く、わずかな量のウイルスが口に入るだけで感染してしまうため、集団感染がたびたび問題となる。

症状が改善してからも便中へのウイルス排泄は続くとされるので、少なくとも1週間ほどは感染予防に気をつけたい。手洗いは流水でしっかりと。

トイレやドアノブに付着したノロウイルスは、次亜塩素酸ナトリウムで消毒が可能。スプレーが市販されている。

自分で作る場合、500 mlペットボトルに水を入れ、家庭用の5%塩素系漂白剤をペットボトルのキャップ2杯分(約10ml)入れれば完成。

吐物や便が直接付着したところ以外は、この半分以下の濃度で消毒できる。


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■治療法は?

ノロウイルスに対する特別な治療は存在しないため、対症療法となる。

具体的には、脱水にならないような水分補給がもっとも大切で、他に整腸剤などを内服してもらう場合も。

下痢が続いているときは、脂肪を多く含む食べものを避けることが早期回復につながる。

市販されている経口補水液は、スポーツドリンクと比べて甘すぎず、吐き気を引き起こしにくい。無理せず、少量をこまめに摂取していただきたい。


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■危険を避けるには…

ノロウイルスは、85℃以上で1分間過熱すると感染力を失うため、冬場は二枚貝を生で食べないのが危機回避策のひとつ。美味しい時期でもあるわけだが…。

ただし、調理者がウイルスを排出している場合や、汚染された貝類と同じ調理器具を使用した際にも感染することがあり、完璧な予防は難しい。

一部で開発中の「完全ウイルス浄化牡蠣」に期待したいところだ。

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(文/しらべぇ編集部・青木マダガスカル

【調査概要】 方法:インターネットリサーチ「Qzoo」 
調査期間:2016年10月21日〜2016年10月24日
対象:全国20代〜60代の男女1,387名に調査(有効回答数)

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