舞台版『ロードス島戦記』 元タカラジェンヌが再起をかけた一歩

2016/12/15 06:30

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1988年に角川スニーカー文庫から刊行され、アニメ・ゲームの原作として累計1,000万部超え。日本を代表するファンタジー作品のひとつといわれる『ロードス島戦記』(水野良著)。

シリーズの幕開けとなる『ロードス島戦記 灰色の魔女』が、主演・菅谷哲也、多田愛佳(HKT48)で、2017年1月6日から紀伊国屋サザンシアター TAKASHIMAYAにて上演される。

プロジェクションマッピングを使った舞台効果、ヒーローアクションの手法を用いた殺陣、壮大な音楽と歌など、見どころの多さでも注目を集めている同作品。

この舞台に一般オーディションから、オリジナルキャラクター・吟遊詩人のターム役を掴んだ元タカラジェンヌがいると聞き、稽古場へ取材に行った。


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■受付嬢から再び舞台へ

彼女の名は、桜帆ゆかり。ニックネームは、ちゃほ。2007年に第93期生として宝塚歌劇団へ入団し、花組娘役として、2015年までの約8年をタカラジェンヌとしてすごす。

「退団する年齢については、自ら決めていました。出身地である鳥取県で宝塚の舞台に立つなど、実現したかったいくつかの夢が2014年に叶ったこと。最後の舞台は芝居だけではなく、ショーのある作品にしたかったことなど、条件が揃って2015年に退団。

その後は、一般企業に入って舞台の外の世界を知りたいと考えていたため、就職。受付けとして、働いていました」

しかし再び、舞台へと気持ちが動き出す。

「企業に就職しても、観劇は大好きだったので、自分がいた花組の公演はもちろん。他のミュージカルや演劇などを観ていました。

でも作品を観て感激したり、次の公演の話題などを聞いたりしているうちに、『あの役をやってみたい。自分も舞台に立ちたい』という気持ちが強くなって…」


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■簡単ではなかった復帰への道のり

(センターにいなくとも、きっちりと表情を作っている桜帆)
(センターにいなくとも、きっちりと表情を作っている桜帆)

1年以上働いた会社を辞め、事務所に入ってオーディションを受けるも、復帰への足掛かりはなかなか掴めなかったという。

「オーディションに続けて落ちて、『やっぱり向いてないし、ブランクがあるから、ダメなのかも』と落ち込んでいました。

でも、『オーディションはたとえ落ちても、演出家の人が憶えていてくれるかもしれない』と励ましてくれる人がいて、あきらめずに受け続けていたんです」


今回は一般オーディションということもあり、多くの人が役を求めて応募していた。その中で、彼女を起用した理由を同作品のプロデューサー・田中優樹氏はこう語る。

「『宝塚が来るんだ!』と、演出家も驚きました。実際に歌唱力も、演技力も、全員一致でダントツの評価でしたね。この舞台を復帰作に選んでくれて、嬉しいです」


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■歌や踊りが楽しみ

(主演の菅谷やエト役のピコなど、個性的な役者たちとの共演にも刺激を受けている)
(主演の菅谷やエト役のピコなど、個性的な役者たちとの共演にも刺激を受けている)

決して大きな役ではないが、再び立つ舞台に笑顔で意気込みを語る。

「たくさんのキャストやスタッフのいる大きな舞台に参加できて、幸せです。自分がどうやって盛り上げていけるか、いろんな個性が混じり合うキャストの中で、個性を咲かせられるか、ドキドキしながらやっています。


まだ稽古の序盤ですが、日々みなさんが『今日はどう動いてくるのか?』など、ワクワクしますね。ブランクがあるので、勘を取り戻しつつ、みなさんとコミュニケーションをとりながら、できたらなと思いますね。


特に歌と踊りが大好きなので、歌を今練習しているのですが、5人いる吟遊詩人の声質も全然違うので、みんなで一曲をどうまとめるか練習しているのと、全体的にどういう振付けになるのかも楽しみです」

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誰に観てほしいか? という質問に、「宝塚時代を知っている人や友達に、宝塚以外の場所で私がどう演じるのか、観てほしい」と語った彼女。

今回掴んだ役はすみれのように小さくとも、得意の歌と踊りで、可憐な花を舞台に咲かせてくれそうだ。

―公演情報―
舞台版『ロードス島戦記 灰色の魔女』
劇場:紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA
日程:2017年1月6日(金)〜1月14日(土)9日間 全14公演
チケット:S席9,000円 A席7,000円(税込・全席指定)
一般販売:ローチケ/カンフェティ/チケットペイ
出演者:パーン:菅谷哲也、ディードリット:多田愛佳(HKT48)、ウッド・チャック:汐崎アイル、スレイン:佐奈宏紀、
エト:ピコ、ギム:深沢 敦、カーラ:月船さらら、ターム:桜帆ゆかり ほか

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(取材・文/しらべぇ編集部・くはたみほ

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