北海道「石勝・根室線」台風10号から復旧へ 残る不通区間は廃止の危機

2016/12/17 11:00

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(画像出典:Wikipedia

8月の北海道に大きな被害をもたらした台風10号などの影響で不通になっていたJR北海道の石勝線・根室線のトマム(占冠村)と帯広郊外の芽室(芽室町)間が12月22日、運転を再開する。


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■帰省ラッシュに滑り込み

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(画像はJR北海道WEBサイトのスクリーンショット)

運転を再開する区間は、合わせて11往復運転されていた札幌と道東エリアを結ぶ特急「スーパーおおぞら」「スーパーとかち」の経路にあたるところ。下新得川橋りょうなど3つの橋をはじめ、各所で路盤も流出して線路が寸断されたことから、普通・貨物列車とともに3カ月以上にわたる運休が続いた。

影響は用務客や観光客などに波及し、十勝エリアで盛んな農業でも生産品の出荷をトラックに頼らざるを得なくなるなど、目には見えにくいところまでの広範囲に及んだ。

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(画像はJR北海道WEBサイトのスクリーンショット)

JR北海道は、本格的な積雪の前に復旧させたいと被災直後から工事に着手。このほど完了し、22日の始発列車から特急・普通列車とも運転を再開する。年末年始の帰省ラッシュにも間に合わせることができ、ホッとしている関係者も多いことだろう。併せて、貨物列車も復活する。


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■水害対策の強化も

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(画像はJR北海道WEBサイトのスクリーンショット)

新たに橋を架けた下新得川橋りょうでは、被災前には川の中に橋脚2本を建て3つの橋桁を架けていた構造を改め、橋脚をなくして橋桁を1つにした。併せて橋桁の構造を見直すことで水面と橋りょうの間を広くし、増水時の流木が橋脚や橋桁を壊すリスクを低減。工期の短縮にもつなげたという。


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■残る不通区間の去就は?

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(画像はJR北海道WEBサイトのスクリーンショット)

一方、現在も不通が続く根室線の東鹿越(南富良野町)と新得(新得町)の間は、復旧のめどが立たないままだ。被害の大きさに加え積雪量も多いことから、工事の着手を見合わせている。

また同区間の工事は、未着手で終わる可能性も否定できない。JR北海道が事業の見直しで最悪は廃止する方針を固めたとされる「単独では維持困難な路線」の10路線13区間に含まれているからだ。

公費と合わせ26億円の復旧費用を投じたものの、以来3年で間もなく廃止になるJR西日本「三江線」(広島県・島根県)と同様の無駄ともいえる投資を避けたい思惑も見え隠れするが、成り行きを見守りたい。

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(文/しらべぇ編集部・前田昌宏

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