地域の自治会などの運営がいまだにアナログな理由

2016/12/22 10:30

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(TAGSTOCK1/iStock/Thinkstock)

 

■前時代的で非効率なことに意味がある

毎年この時期になると、歳末警戒といって、

「火の用心! マッチ一本火事のもと!」


って声が聞こえてきます。あれって、地域の自治会の方々がやっていたりしますよね。

地域の自治会活動って、おじいちゃんやおばあちゃんが会館に集まってのんびりお茶を飲みながらどうでもいい話をしているだけのように思っている人も多いんじゃないかと思います。

実は私も一応地域の自治会の役員をやっています。もちろん最年少です。働き盛りの人が継続的にボランティア活動をするのは結構大変ですからね。どちらかというと、定年を過ぎたような方々が活動の主役になっています。

はっきりいって、会議のスピード感はないし、IT化も進んでいません。文書は電子化してアーカイブしておけばいいと思うのですが、ほぼ紙ベースで保存しています。。広報や会員間の連絡事項もブログやSNSを使えば楽なのにと思いますが、アナログでやっていることが多いんですね。

これを「前時代的で非効率だ」と思う人は多いと思うのですが、実はこれはこれで理にかなっているのです。なんでだと思いますか?

そもそも地域の自治会などは現状のインフラがうまく機能しなくなったときにこそ機能を発揮するためにあるもので、前時代的であることに意味があるんです。あえて旧バージョンのシステムに載せておくことが合理的なんです。

「名簿をクラウドに・・・」


なんていっていたら電源喪失しただけでアウトですから。たとえば回覧板が機能していれば、いざというときネットや電話がつながらなくても情報をなんとか共有することができます。


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■自治会、PTAなどはいざというときのための活動

また、ボーリング大会だの観劇だのバスツアーだの、一見面倒くさいだけのイベントを細々と開催するのは、できるだけ幅の広い世代や価値観の人たちとのリアルな接点を少しでも増やそうという努力であって、決して暇な人たちが集まって趣味を楽しんでいるわけではないのです。

そうやって地域が少しでもリアルに接点をもつことによって、いざというときのコミュニケーションの質が変わってくるはずなんです。

PTA活動やマンションの管理組合なども同じだと思います。自分にとっての「通常」の感覚に当てはめて考えるとナンセンスなことが、「いざというとき」にはとても合理的に働くことがあるという想像力は、大人ならもってほしい。

「そんなの関係ない。非合理的・非効率的だから参加しない。会費も払わない」


と、「通常」のときに言っている人でも「いざというとき」には必ず隣近所の人たちと助け合わなければいけなくなるわけです。

こういうアナログな活動は続けているからこそ維持できるもの。一度やめてしまったら復活させるのは非常に困難。

「今、通常状態にある自分」にとって非合理的・非効率的、あるいは無意味に見えることだからといってばっさりとなくしてしまうと、もしかしたら大変大きな社会的損失につながる可能性があります。

「なるほど」と思ったら、地域の掲示板を見たり、回覧板を読んだりして、歳末警戒に参加してみてはいかがでしょうか。それが、家族を含めた地域の安全・安心の第一歩なのです。

※この記事は全国のFMラジオネットワークJFNの「OH! HAPPY MORNING」のコラボ企画です。記事の更新は隔週木曜日10:30am。記事更新の約10分前から、おおたとしまさがこのラジオで記事と同様の話をおしゃべりします。

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(文/おおたとしまさ

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