マンガとゲームで日本語を学んだアメリカ人の愉快なコミック

2016/12/22 06:30

(国際コミュニケーション・コンサルタント、中野区観光大使ほか多くの肩書を持つベンジャミン・ボアズさん)
(国際コミュニケーション・コンサルタント、中野区観光大使ほか多くの肩書を持つベンジャミン・ボアズさん)

総務省の報道発表資料によると、2015年末の在留外国人数は223万2,189人で、前年末に比べ11万358人(5.2%)増加している。

日本に住む外国人の中には、自国に住んでいる時から日本の文化に興味を持ち、驚くほど堪能な日本語を操る人も。

とりわけ近年目立つのは、日本のアニメやマンガのファンになったことから、そうしたコンテンツで日本語を身につけた人々だ。



 

■スーパーインテリオタクな外国人

アメリカ出身の在留外国人のひとり、ベンジャミン・ボアズさん(以下、ベンさん)は国際コミュニケーション・コンサルタント、英日翻訳家、内閣府公認クールジャパン・アンバサダー、慶應義塾大学訪問研究員のほか、中野区観光大使としても活躍するなど、たくさんの肩書を持つ。

自らを「好奇心系在日アメリカ人」と例えるベンさんは、会ってみるとシャイな気配を持ちながら、とにかく「自分のやりたいこと」を真っすぐに行動に移している姿が印象的だ。

とりわけ異彩を放つ「中野区観光大使」になったいきさつを聞いてみると…

「中野区観光大使は『なれたら、おもしろいな』と考えていたら、募集があることを友達が教えてくれて、応募しました。

面接で聞かれた当時は、『志望動機』という単語を知らなかったのですが、外国人にもおもしろいスポットがたくさんあるのに、英語のMAPがないなど関心があった点を交えて、自分が大使になりたい理由を話して合格しました」(ベンさん)


2015年3月に彼の原案・文で発行された『日本のことは、マンガとゲームで学びました。』(マンガ・イラスト青柳ちか 小学館刊)は日本文化との出会いをはじめ、彼の半生が日本のゲームやマンガとの関りを中心に描かれている。


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■「悪いね」で失敗も

京都大学大学院で「麻雀と社会」で研究していたベンさん。ある日友達から「明日『さんま会』やるけど来る?」と誘われ、「行く! 行く!」と快諾。

3人で麻雀を打つ専門用語の「さんま」のつもりで集合場所へ行ってみたら、七輪でさんまを焼く友人たちを発見した――そんな様子を「磨きすぎたスキル」というタイトルで紹介している。

また、日本語特有の言い回しに翻弄される話としては、ある日「悪いね」という言葉に「Thanks」の意味があると知ったベンさん。

「さっそく誰かに使ってみよう♪」と思い、会社の社長がお客様からの差し入れを持ってきてくれた際、「ああ悪いねー!」と言ったらヘンな雰囲気に…。

「上の立場の人にはそういう言い方しちゃダメだよ」と、失礼な言い回しであることを指摘され、「やっちゃった…! むずかしいよ“立場”での使い分け…!!」と、悶絶することになるのだ。


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■日本の菩薩を探して

愉快な話だけでなく、感動するエピソードもある。そのひとつがコラム「食中毒という悪夢があって菩薩に会えた」だ。

2001年ホームステイのために来日したものの食中毒になり、帰国するために空港へ向かうがタクシーでクレジットカードが使用できず、現金を引き出そうとしたらATMでアメリカのカードが使えない…。

そんな時に、知らない日本人がタクシー代2万円を貸してくれたというのだ。

「あの人に会ったおかげで日本にこんなに慈悲深い人がいると知り、2回目の来日の動機の一つになった」と語り、残念ながら連絡先をなくしてしまったベンさんは、この四谷で助けてくれた英語の堪能な若い男性を探しているという。

外国人の友人にプレゼントすると、日本での生活に参考となる本として喜ばれそうな内容で、漢字が苦手な外国人でも読みやすいよう、ふりがながふられている。

また、さまざまなエピソードは、私たち日本人から見てもかなりおもしろく、「そういうこと、あるだろうなぁ」という発見が楽しめる一冊としてもお勧めだ。

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(取材・文/しらべぇ編集部・くはたみほ

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