「義の人」西郷隆盛は、今でもみんなから愛される存在

2016/12/29 10:00

(kororokerokero/iStock/Thinkstock)
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2018年の大河ドラマは『西郷どん』である。主演は鈴木亮平で、NHK大河ドラマにとっては3年ぶりの「幕末・明治期」となる。

西郷隆盛は、現代日本人の間でも非常に人気が高い。

明治政府に対してクーデターを起こし、しかも失敗したのだから普通は「悪役」になっているはず。だが、西郷の場合は今も昔も「義の人」として知られている。明治政府も、彼をブラックプロパガンダにより貶めようとはしなかった。

そんな西郷の人気を物語る調査結果がある。



 

■官軍こそ悪役

しらべぇ編集部では「西南戦争が発生したら、西郷軍ではなく政府軍に味方する?」という内容の調査を全国の20代〜60代男女1,365名に対して取った。

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すると「政府軍につく」と答えた人は、わずか25.9%。「勝てば官軍」という言葉は、ここでは通用しないらしく、まるで官軍が悪役だ。

そして当時の人々も、「義は西郷にある」と思っていた節がある。

江戸幕府を倒していざ明治政府が本格始動すると、今度は明治の元勲の中で温度差が生じた。西郷とその盟友だった大久保利通が対外政策で激しく衝突したことは有名だが、何よりも政治家による汚職が深刻化していたのだ。

廃藩置県や地租改正を強行する一方、一部の政治家は地元の有力者と癒着し暴利を貪っていた。旧幕時代に士族だった者が、これに不満を覚えないはずはない。


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■勝敗を分けた「軍服」

要は不公平な利権配分が西南戦争の原因になったのだが、この戦いで政府軍は相当手こずった。

精強な西郷軍は接近戦を得意とし、刀で政府軍の兵を次々に斬り伏せる。西郷軍の所有する銃は旧式の先込め銃だったが、その性能差を格闘戦でカバーしていたのだ。

ところが、それよりも重要なのは「服の素材」。政府軍の軍服は動物繊維だが、西郷軍のそれは木綿。すると、どうなるか?

木綿は吸水性が高い。そのため雨に濡れると極端に重くなってしまう。一方で動物繊維の服は水を弾き、しかも保温性に優れている。悪天候によりずぶ濡れになった西郷軍の兵たちは、徐々にその体力を奪われていった。


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■勝者は西郷だ!

こうして西郷軍は追い詰められ、最後は総指揮官の自害という形で決着がつく。

だが、実質の勝利は西郷隆盛が掴み取った。

巷では西郷を描いた錦絵が堂々と売られ、のちに銅像まで建てられたのだ。明治天皇も西郷の死後わずか12年で恩赦を与え、官位まで贈っている。勝者であるはずの大久保利通が徹底的に嫌われたのとは対照的な結果だ。

日本人はこれからも、「義の人」西郷隆盛をこよなく愛していくに違いない。

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(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一

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