箱根駅伝を全国に開放すべき?陸上ファンからは重大な警鐘が
正月の風物詩、箱根駅伝が2日スタート。昨年の覇者で全日本と出雲を制した青山学院を中心に、駒澤、山梨学院らが優勝候補といわれている。
そんな箱根だが、関東以外の大学をみることはない。それもそのはず、同駅伝は関東学生陸上競技連盟主催であり、全国大会ではないのだ。
当初は関東大会にすぎなかったのだが、メディアが大々的に報道したことで、大学駅伝では随一の知名度を得るようになる。
そのため有力なランナーがすべて関東の大学に集まってしまっている状況。関東の陸上部ばかりが強くなる現状から、「全国に門戸を開放すべきだ」という声が少なくない。
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■箱根駅伝の全国化についてどう思う?
門戸開放については昨年青山学院の原監督が前向きな発言を行なって話題になったが、しがらみが多いようでなかなか実現には至らず。
しらべぇ編集部が全国の20代から60代の男女1365名に箱根駅伝の全国化ついて調査を実施したところ、「門戸開放すべき」と答えた人は全体で4割。
年代別でみると、若い世代ほど全国化について否定的で、年齢が上がるほど開放に肯定的になっていることがわかる。
長く続いた箱根の伝統を守るべきであると考えているのは、むしろ若者のようだ。
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■地域別でみてみると…
「全国化するべき」と答えた人を地域別に見てみよう。
東海、近畿、中国、九州など西日本の割合が高く、東日本は低めとなっていることがわかる。
全国大会である出雲や全日本では愛知工業(愛知)、京都産業(京都)、広島経済(広島)、第一工業(鹿児島)などそれぞれ地域に本拠を置く大学が出場している。
そのような人々が「おらが街のチームに、箱根に出てほしい」と考え、門戸開放を望んでいる可能性が高い。
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■陸上ファンに聞いてみた
趣味で駅伝やマラソンをよく観に行くというIさんに門戸開放についての意見を聞いてみた。
「箱根駅伝はとにかく注目度が高いので、競技人口を増やすという意味では、全国化したほうが盛り上がると思いますし、一定のメリットがあるでしょう。
ただ、それよりも大会自体が高校野球の甲子園大会のように神格化されすぎているのが問題です。箱根で高い実績を残した選手たちは、総じて卒業後マラソンを始めると、燃え尽きたのかいいタイムがでていません。
箱根で勝つことを目的にするのではなく、オリンピックのマラソンでメダルをとることを最終目標にするべきですし、そのように指導者が指導しなければいけない。箱根駅伝用のランナーを育てるのではなく、世界に通用するマラソン選手を育てるという視点をもつべき。
東京オリンピックもありますし、門戸開放よりもマラソンにつなげるシステムを作るべきだと思います。そうしないと、日本の男子マラソン界は今後も低迷することになってしまいます」
高い注目度であるがゆえに、様々な問題も持っている箱根駅伝。そのあり方を考え直す時期に来ているのかもしれない。
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(取材・文/しらべぇ編集部・佐藤 俊治)
【調査概要】
方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
調査期間:2016年12月16日~2016年12月19日
対象:全国20代~60代の男女1365名(有効回答数)