騎馬隊vs鉄砲隊どちらに所属したい?「騎馬隊」はわずか2割
騎馬隊と鉄砲隊。この両者が戦えば、どちらに軍配が上がるだろうか?
織田信長を知っている日本人からすれば、やはり「鉄砲隊のほうが強い」となるかもしれない。だが世界的に見れば、騎馬隊は常に鉄砲隊の上位に位置づけられていた。わずか70年前の第二次世界大戦ですらも、騎馬隊が展開されていたほどだ。
いずれにせよ、歴史を語る上で「騎馬隊と鉄砲隊の関係」は欠かせない。
■騎馬隊は「射殺される」イメージ
しらべぇ編集部では「騎馬隊と鉄砲隊、所属するならどちらがいいか」調査を実施した。対象は全国20代〜60代の男女1,365名である。
すると、「騎馬隊がいい」と答えた人は全体の19.0%。案の定、「騎馬隊は射殺される」イメージが定着しているようだ。
火縄銃という武器が日本の戦国時代に絶大な影響を与えた事実は、誰しもが知っている。だが「鉄砲隊勝利の証明」とまで言われた長篠の合戦は、今や大幅な検証が加えられ「三段撃ちはなかった」ことになっている。
そもそも、鉄砲の運用はその時の天候や地形などに大きく左右される。「鉄砲があるから絶対有利」とは言い切れず、現にヨーロッパでは17世紀以降も騎兵を軍の中核に置いていた。
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■「騎馬隊=貴族」という公式
「歩兵は平民、騎兵は貴族」というのはヨーロッパでは常識だ。
貴族の子息が小銃を持って歩兵隊の列に入ることは、まずあり得ない。それは平民の子息の役割だ。
ヨーロッパの戦争の基本戦術は、まず隊列を組んだ歩兵が真正面から撃ち合ったあとに騎馬隊の突撃を入れるというもの。すると当然ながら、歩兵すなわち鉄砲隊のほうが死傷率が高くなる。
日本の戦場でそうならなかったのは、地形が山がちだったからだろう。身を潜めるための森林も多かったため、日本では「世界初のスナイパー」が登場した。織田信長を狙撃した杉谷善住坊である。
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■鉄砲隊の「危険性」
付け加えると、鉄砲隊は「暴発の危険」と常に隣り合わせだ。
今年10月、愛知県長久手市のイベントで鉄砲隊の銃が暴発し、射手が左手首を失う事故が発生した。火薬を取り扱っている以上、そうした危険はいつも考慮しなくてはならない。
逆に言えば、騎馬隊は安全性が非常に高いのだ。戦場で命を落とすかもしれないが、事故死の可能性は鉄砲隊よりもはるかに低い。名誉を重んじるヨーロッパの貴族が鉄砲隊を嫌ったのは、事故死は名誉にならないからだ。
こうして両者を比較してみると、意外な発見が次々と明らかになる。
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(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一)