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大学病院の勤務医が大麻で逮捕 医師の犯罪について弁護士に聞いた

コラム

医師

(DragonImages/iStock/Thinkstock)

レイ法律事務所・弁護士の松田です。2016年は、芸能界の薬物問題が大きく世間を賑わせましたね。

芸能人が薬物で逮捕等された場合には、刑事事件だけでは収束せず、多額の損害賠償の問題にもなりうるということが世間に広く認識されたのではないでしょうか。

芸能人の場合と少し毛色は異なりますが、薬物で逮捕などされた場合、刑事事件だけでは収束せずに後々大問題になりうる職業として、「医師」があります。

医師は、医師免許という資格を国から認められている存在ですので、医師免許に影響してくる可能性があるのです。

(松田有加弁護士)

(松田有加弁護士)

 

■大学病院勤務の男性医師が大麻所持で逮捕

10日朝、福岡県久留米大学病院に勤務する30歳の医師の男が自宅に1.438グラムの大麻を所持していたとして逮捕されました。

この男は、「今までに大麻を使用したことが何度かあるが、自宅に持ち込んだことはない」として、容疑を否認しています。

 

■まず、刑事的な責任は?

大麻が自宅で見つかった場合、「自分が持ち込んだものではない」という供述がされることがしばしばあります。

大麻の場合、大麻を「使用」しただけでは処罰されず、「所持」していたなどの場合でなければ処罰されないため、このように、「自分の持ち物ではない」という供述が出てきやすいのです。

この供述が信用できるかどうかは、その家には他の人も立ち入ることができたのか、家のどこから見つかったのか等、具体的な事情を考慮して判断されることになります。

これらの事情次第では、「逮捕はされたが起訴はされない」という可能性も。

しかし、もしこの男性医師の供述に沿うような事情がないのであれば、医師という薬物を適切に扱わなければならないという社会的立場に照らしても、起訴される可能性は高いでしょう。

 

■医師免許は?

医者の場合には、刑事手続きの後に「行政手続き」が行われ、この手続きの中で医師免許を停止・取消しにするかどうかの審議が行われます。

医師は、国民の健康な生活を確保する責務を負う立場にあり、麻薬等の薬効の知識を持ち、その外の大きさを十分認識している立場にあります。

そのため、医師が自ら違法薬物を使用した場合には、医師免許が数カ月から数年停止されるなどの重い処分が下されることになっています。

具体的にどのような処分になるかどうかは、刑事手続きの結果がどうなるかが大きな影響を及ぼしますが、今回の男性医師に関しても、もし刑事手続きで有罪判決が出て、それが確定すれば、医師免許の停止・取消の問題になってきます。

 

■薬物は「被害者のいない犯罪ではない」

薬物は、「被害者のいない犯罪」とよくいわれます。

自分が薬をやっても、それによって誰かに迷惑を掛けているわけではない、誰か被害者がいるわけではない、という理由で、使用を正当化しているケースが非常に多いのです。

しかし、ひとたび薬物使用・所持が明るみになれば、芸能人であれば損害賠償の問題が発生したり、医師であれば医師免許の停止・取消の問題が発生し、職場・家族に迷惑を掛けたり等、その影響力はすさまじいです。

一般の人にとっても、職を失うリスク・家族に迷惑を掛けるおそれ等は他人事ではありませんので、今一度、薬物に手を出すことのメリットのなさに国民全員が気づいてほしいところですね。

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(文/レイ法律事務所・松田有加

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