将棋連盟・谷川浩司会長が辞任…ファンからは労いの声も

谷川会長は昨年末、第三者調査委員会が三浦弘行九段のスマホ不正問題について「証拠なし」の結論をだした際、辞任せず職務をまっとうすることで責任を果たすとしていた。

2017/01/19 16:30

将棋

1月18日、日本将棋連盟の谷川浩司会長が同職からの辞任を表明。19日に臨時理事会が開かれ、その意向が承認された。



 

■誠意を示すために決断

谷川会長は昨年末、第三者調査委員会が三浦弘行九段のスマホ不正問題について「証拠なし」の結論をだした際、辞任せず職務をまっとうすることで責任を果たすとしていた。

しかし「ファン、関係者、三浦九段への誠意を示すためには、私が辞任するのが一番という結論至った」「心身ともに不調をきたす状況に陥ってしまい、責任ある立場を続けてくのは困難」として、職を辞する決意をしたという。

後任については未定だが、外部からの登用はない模様だ。同会長は「ある程度知名度のある人がいいと思う」と発言。実直な性格で知られる元名人で永世棋聖の佐藤康光九段や、俳優森下大地の父で人望の厚い森下卓九段の名前が候補としてあがっている。


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■他の理事への批判も

今回谷川会長は遅いという批判はあるものの、組織のトップとして記者会見で謝罪し、辞任したことで責任をとった。しかし、これで事態が収束していると考えている人は少ない。

同じく辞任が報じられている島朗九段が会見に出席しなかったことや、ほかの理事は残留する方向。嫌疑を訴えた棋士が未処分であることなどから、「谷川会長1人に罪をかぶせている」と不満の声が。


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■労いや同情も…

厳しい声の一方で、同情の声も多い。A級棋士でありながら会長に就任した谷川九段は、自宅のある神戸と東京を行き来し職務をまっとうしてきた。

会長職とトップ棋士の兼務で忙しい毎日を送ったため、棋士としての成績は低迷。A級から陥落し、以前には考えられないような内容の将棋を指してしまうことも。

その理由は、会長職の忙しさから日々進化する将棋の最新戦法を十分に研究する時間がとれないためといわれており、「トップ棋士の会長職兼務は厳しい」という指摘は以前から存在。

今回は最悪の事態を招いてしまったが、それでも大変な職務をこなしてきた谷川九段には労いの声や「棋士としてはよかったのではないか」のと指摘が。


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■将棋ファンの声は…

将棋ファンのSさんに聞いてみた。

「やはり第三者調査委員会の『証拠なし』判定時に辞めておくべきだったと思います。対応が後手後手になっていて、どんどん印象が悪くなっている感じ。ですが、いやいやながらも記者会見に応じて自分の言葉でメディアに伝えたのは、評価してあげて欲しい。


谷川九段は羽生さんや加藤一二三さんと並ぶ将棋界のスターで、将棋界の発展に貢献してきた人。現在のトップ棋士が対局の際に紳士な立ち振る舞いをするようになったのは、谷川さんの影響だと思います。


そういう意味で、今回このようなことに巻き込まれたことは、残念に思います。正直、棋士一筋の人間が対応できるような問題ではなかった。今後、谷川九段は棋士に専念できるはず。できればまた竜王を獲得して『俺がとりかえしてみせた』と言って欲しいですね」


会長職を解かれた棋士・谷川浩司の今後に期待したい。

(取材・文/しらべぇ編集部・佐藤 俊治

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