早く届けろ!クラウドファンディングは成功したのに完成しなかった製品3選

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(画像はKickstarterのスクリーンショット)

クラウドファンディングサイトには、大きな難点がある。

それは「出資した製品が完成する保証はない」こと。確かにサイト内のキャンペーンでは「先着50名の出資者に60%オフで提供」などのサービスもあるが、それは「商品の売買」ではなく「出資に対する贈与」である。

だからこそ、クラウドファンディングで紹介されている発明品は「商品」ではなく「製品」に過ぎないのだ。

ユーザーから巨額を授かった製品が、市場投入の前に頓挫してしまう例も少なくない。ここでは代表的な3例を紹介しよう。


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①ZANO

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(画像はKickstarterのスクリーンショット)

欧米のドローンマニアを怒り狂わせた事例として、『ZANO』が頻繁に取り上げられている。

これは手のひらサイズの高性能ドローンという触れ込みで資金調達キャンペーンを成功させた製品だ。集まった額は230万ポンド(約3億2,000万円)。零細のスタートアップにとっては、夢のような巨額である。

ところが、このZANOは「完成したから資金を集める」のではなく「資金を集めてから完成させる」もの。つまり、キャンペーンを行っていた時点でZANOは完成していなかったのだ。

結局、出資者への出荷時期は遅れに遅れ、届いた製品も数十cm浮き上がるのがやっとという欠陥品。これについては、日本人出資者も検証動画を出している。

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(画像はYouTubeのスクリーンショット)

結局、開発元のCEOは健康問題を理由に辞任。そのまま雲隠れしてしまったようだ。


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②AR-1

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(画像はIndiegogoのスクリーンショット)

こちらも「クラウドファンディングの失敗例」として、複数のテクノロジーメディアに紹介された事例である。

ライダー用のフルフェイスヘルメットに、そのままナビゲーションシステムを搭載できたらどんなに素晴らしいだろう。バイザー部分に映像を投影することで、ライダーに360度の視界をもたせるのだ。

SKULLY社の新型ヘルメット『AR-1』は、本体にGPS機能を搭載した「SFの具現化」として大きな話題になった。『Indiegogo』でのキャンペーンでは、250万ドル(約2億9,000万円)もの資金を獲得している。

だが、開発後の量産やマーケティングのプランが難航し、右往左往しているうちに250万ドルがなくなってしまった。出資者はこの製品のために1499ドル(約17万円)を支払っているが、戻ってくる見込みはない。

「金返せ!」という絶叫が聞こえてきそうな事案だ。


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③COOLEST

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(画像はKickstarterのスクリーンショット)

最後に『COOLEST』を紹介しよう。この事例はまさに「クラウドファンディングのデメリット」を代表するもの。今後クラウドファンディングについての解説書が出版されるとしたら、ほぼ間違いなく登場するだろう。

何しろ、調達額がすごい。1300万ドル(約15億円)という出資を一手に収めた。

このCOOLEST、あらゆる機能がひとつに凝縮された万能クーラーボックスという名目だったのだが、キャンペーン成功後の量産に行き詰った。しかも製品価格が原価割れだとあとから判明し、6万人の出資者に製品を送り届ける最中に資金がなくなってしまったのだ。


これらの製品の開発者は「資金を集めたらどうするか」を本気で考えていなかったのだ。製品を世に売り出すとしたら、それを量産しなくてはならない。そうしたことを考えず、「ややこしいことは金を手にしてから」と思っている節が見受けられる。

様々な夢を現実のものにしたクラウドファンディングだが、そこには大きなリスクがあることも考慮しなければならない。

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(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一

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