『カルテット』視聴者も騙す脚本 左手の隠喩がスゴすぎると話題

カルテット
(画像はYouTubeのスクリーンショット)

オトナなラブサスペンスとして評判を呼んでいる『カルテット』(TBS系)。

脚本は『東京ラブストーリー』や『最高の離婚』(ともにフジテレビ系)など、時代を代表する名作を世に送り出してきた坂元裕二氏が担当。

その巧みな脚本は、ときに視聴者までも騙すようで、Twitter上では第2話に登場した「左手」への考察が盛んに行われている。

以下、かな~りネタバレありで紹介するので、未見の方は注意してほしい。



 

■「右手で興味をひきつけて、左手で騙す」

第2話冒頭、巻鏡子(もたいまさこ)と世吹すずめ(満島ひかり)が密会するシーンがあった。

すずめは彼女に頼まれて、巻真紀(松たか子)に近づき、仲良くなるというミッションを密かに実行中の身。じつは鏡子は息子が結婚相手である真紀に殺されたと考えていて、そのために貧乏音楽家のすずめを派遣しているのだ。

すると、鏡子は「手品師がどうやって人を騙すかご存知?」「右手で興味をひきつけて、左手で騙す」と語る。

後に、これが伏線だったとわかるのが、すずめと別府司(松田龍平)がコンビニにアイスを買いに行くシーンだ。

真紀のことが好きなのではとすずめが司に尋ねると、司は逆に質問。家森諭高(高橋一生)への想いを尋ねる。

すると、すずめは「絶対に言わないでくださいね」と口止めした上で「家森さんのこと好きです。片想いですけど」と述べる。これに対し、司も真紀のことが好きだと打ち明けた。

その後、ふたりはコンビニで「ラブラブストロベリー」と「ロックンロールナッツ」なるアイスを購入。司がそれらを差し出すと、すずめが選んだのは「左手」の「ロックンロールナッツ」だった。

これを前述の手品師の比喩になぞらえると、すずめが家森のことを好きだと述べたのは嘘の可能性が出て来る……というわけ。考えようによっては、司に密かに想いを寄せている可能性すら出てくる。

もちろん、台詞でそれが述べられたわけではないので、すずめの本心は視聴者にはわからない。『カルテット』という架空の世界の中の、すずめただ一人しか今は知らない状況だ。

しかし、カメラが司の左手だけを印象的に切り取っていたことを考えると、そのような比喩だったと考えて、まず問題ないだろう。


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■他にも「対比的な比喩」がいくつも

また、Twitter上では、第2話では他にも「右手左手」のような対比が複数見られたという指摘が。

さらっと見ただけでは「SPEEDもXも、彼らの世代だったもんなあ」としか思えないだろうが、踏み込んで考察してみると途端にその脚本の巧みだが浮き出てくる。


■二項対立の理由は「どっちつかずな司のキャラ」を際立たせるため?

では、この回ではなぜこんなにも二項対立がいくつも暗示的に用いられたのか?

どのような心的効果を視聴者の胸中に脚本家が起こしたかったのかは、あくまで推測するしかないわけだが、記者としては4人の中でもっとも印象の薄い、司のキャラを表現したかったのではないかと考える。

静かに見えて意外と気の強い真紀、女受けするタイプだが理屈っぽく議論好きな性格の諭高、天然を演じるすずめなど、3人は非常にアクの強い人物造形。

これに対し、司は優柔不断で、自分からなにかを選ぶことができないキャラだ。恋愛に関しても、真紀のことが好きと言いつつ、こっぴどく振られると職場の同僚になびき、一夜を共にする。

つまり、両極端なキャラの中において、司は唯一どっちにも属していない(属せない)人間なのだ。

しかし、裏を返せばそれこそが司の一番の個性でもあり、その際に上記のようなさまざまな「二項対立」がうまく作用する。



上記(とくに後半)は1視聴者である記者の個人的な推察を多分に含んでいるが、間違いなく言えるのは、このドラマはさまざまな観点からの鑑賞に耐えうるということだ。

気になった人は、ぜひ一度騙されたと思って見てみてほしい。そして、できれば記者がこれまで楽しみながら書いた『カルテット』関連の記事も読んでほしい。

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(文/しらべぇ編集部・クレソン佐藤