ブラック企業でなくても…「自分は働きすぎ」と感じる人の割合
働き方改革実現会議で検討されている、残業時間の上限規制に関する政府案。
この上限が、厚生労働省の「過労死の労災認定基準」に抵触することなどから、各関係者が注視すると共に、推移を気にかける人も多い。
長時間労働が問題視される中、どれくらいの人が「自分は働きすぎだ」と感じているのだろうか。しらべぇ編集部では、全国の20~60代の有職者男女686名を対象に調査を実施した。
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■「働きすぎと思う」は約5人に1人
全体では19.1%が「自分は働きすぎだと思う」と回答。
年代別に見ると60代が13.1%と最も低いものの、20代は17.1%、30代は17.4%、40代は21.4%、50代は23.4%と、年代に比例してその割合が上がっている。
既婚・未婚で比べた場合、
既婚者の方が10ポイントほど高い数値となった。
家計を支えるという点で家族がいると、労働環境が厳しくても転職への決断がしにくいケースもある。
転職エージェントの中には「既婚者男性の場合、本人がヘッドハンティングの条件を飲んでも、奥さんを説得できないと話が進まない――というケースが増えている」と語る人も少なくない。
また、男性に限らず、女性の場合は時短勤務であっても子育てや家事といった負担が大きく、休みのない主婦業との兼業で「働きすぎ」となることは多そうだ。
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■意外な職種が
職種別の割合を比較してみると、特徴的なのはこの3つ。
最も低い数値は、当然といえそうだが自由業の9.3%。
安定の面で難しい部分はあっても、自らのペースやスタイルで働くフリーランスは、オーバーワークであれば仕事を「断る」選択肢がある。
また、会社員がほぼ全体と同じ19.2%というのもうなずけるのだが、意外だったのは最も割合が高い職種が、公務員の26.7%。
公務員の4人に1人以上が、「自分は働きすぎだ」と感じている結果となった。
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■ラクできるはずだったのに
実際に「自分は働きすぎだと思う」と感じている人に、話を聞いた。
「高校の教員をしています。うちは進学校ではないので受験対策などの面では、比較的ラクな方なのだと思います。ただ、その代わり部活動が非常に盛んで…。
生徒たちがやる気を出して練習しているのに、自分が出ないわけにもいかないし、万が一ケガがあった場合を考えると、やはり『いなくて事故が起きた』というのも問題ですから。進めたい事務処理を後回しにせざるを得ないなど、気づけば長い時間拘束されることになってますね」(40代・男性)
「産休明けに職場に復帰して今は時短勤務ですけど、早く帰る分やっぱり気を遣うし、子供も小さいので大変です。
会社も理解があるし夫も協力的ですけど、初めての子育てで慣れないこと多く、久しぶりの職場でペースを早くつかみたいってジレンマもあって、ついつい力が入っているのかもしれません」(30代・女性)
「会社はブラック企業ではないですが、このご時世だとギリギリの人数でプロジェクトを回さないといけなかったり、メンバーの様子を見て自分が仕事を巻き取ったりするので、負担は大きいです。
自分が若い時の僕くらいの年代の人は、部下に任せて帰る人も多かったので、今頃はラクできる予定だったんですけどねぇ。(苦笑)」(50代・男性)
労働時間の問題は、経済状況によって影響を受けざるを得ないケースも多いし、性格的に「切り上げられない」といった人もいるだろう。
しかし、ワークライフバランスの重要性が叫ばれる昨今だけに、「働きすぎ」と感じる人が少しでも減少することを願いたい。
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(取材・文/しらべぇ編集部・くはたみほ)
【調査概要】 方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
調査期間:2016年10月21日~2016年10月24日
対象:全国20代~60代の有職者686名(有効回答数)