ネットの匿名投稿は「便所の落書き」か?心理専門家が指摘する類似性
公衆便所を利用すると「便所の落書き」をよく目にする。意味不明な文字列やだれかの電話番号、愚痴が記されている。
一方、ツイッターのような匿名ネット投稿も「便所の落書き」と称されるケースもある。
便所の落書きをすることと、ネットに匿名投稿することを同一視するTwitterユーザーは少なくない。
https://twitter.com/zTENGAz/status/840020428273860608
https://twitter.com/karutoanimater/status/839749311327981569
一定の主張がなされているネットのページ(Yahooニュース、Togetter)のコメント欄はそこらへんの便所の落書き掲示板の2億倍くらい酷いので見ると(以下自主規制)
— 永遠の土日 (@vividwhite_tn) February 27, 2017
実際、それらの行動心理に同一性はあるのだろうか。しらべぇ編集部は、心理カウンセラー園絵氏にそれぞれの分析を依頼した。
■便所に落書きをする心理
園絵:トイレは「個室」であり、他人を気にすることがなくリラックスした心理になります。また、トイレは狭い空間なので、落書きをすれば非常に人の目につきやすいです。
落書きをする心理には「自尊欲求」「承認欲求」が関係します。 評価されたい、認められたい、気づいてほしいと願う気持ちです。ゆえに 自分の存在を誇示し、確認する行為だといえます。
心の調和が取れなくなったときに、バランスを保つため落書き行為が習慣化してしまう方もいます。しかし、迷惑行為なのでやめましょう。
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■ネットに匿名投稿する心理
園絵:では、ネットに匿名投稿する人の心理はどうなっているのか。2ちゃんねるなども、やはり「自己顕示欲」を満たすものだと考えます。
自分だけが知っている情報や、自らの経験をだれかに話したい心理から、ネット投稿する方は多いです。
日常生活でストレスやフラストレーションを抱え込んでいる方は、ネットに過激な言葉を書き込むことによって憂さ晴らししている人もいます。
満たされない欲求を、それに似た疑似行動を達成することで、満足させることができます。このような心理を代償行動といいます。
日常的にあまり華やかな生活を過ごしていない人は、ネットで承認されたい気持ちが強まり「代償行動」に走りがちだと感じます。
便所の落書きとネットの匿名投稿は「だれかに認められたい」と願う気持ちがきっかけにあり、同一性の高い行動と判明した。
そして、個室トイレのリラックスした状態と、匿名であることの安心感によって、書き込みたくなる心理があることも似ている。
落書き行為の代替手段として、ネットの匿名投稿は有効である。しかし、投稿内容が法に触れるようであれば、迷惑行為以上の犯罪となる可能性もある。
ネットとリアルが地続きである意識は、しっかりもっておくべきだろう。
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(取材・文/しらべぇ編集部・モトタキ 取材協力:心理カウンセラー園絵)
【調査概要】
方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
調査期間:2017年1月20日~2017年1月22日
対象:20~60代男女1400名(有効回答数)