日本の道交法は安全主義 セグウェイ公道走行は「夢のまた夢」か

2017/03/15 21:00


(mari_art/iStock/Thinkstock)
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改正道路交通法が施行された。

これは近年増加する「高齢者ドライバーによる事故」を受けて制定されたものである。少子高齢化の波がここまで押し寄せていると解釈すべきなのだろうか。

だがそれよりも、此度の改正道交法は最先端テクノロジーに大きな影響を与える可能性がある。近年研究が進められているパーソナルモビリティやオートドライブ車を法定義する際、「高齢者による車両の利用」も当然ながら検討されるはずだからだ。



■高齢ドライバーに検査を義務付け

まずは、改正道交法の要点をおさらいしよう。

これは75歳以上の免許所持者を対象にした認知検査で、「認知症の疑いあり」と判断された人に医師の診察を受けさせるというもの。この辺りは任意ではなく、義務。そして改めて認知症が確認された場合、免許証は失効もしくは停止される。

逆に言えば、それまでは高齢ドライバーに対する強制失効処分はなかったということ。また、改正道交法の施行後も引き続き高齢ドライバーに対する免許自主返納の呼びかけを続けていくという。


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■常に厳格化の道交法

以上が改正道交法の簡単な説明であるが、ではこれがセグウェイを始めとするパーソナルモビリティや、今話題のオートドライブ車にどのような影響を与えるのだろうか。

まず、パーソナルモビリティの公道走行に向けた法整備はより難しくなった可能性がある。そもそも我が国の道交法は、極めて硬性的だ。基準が厳格化されることはあるが、緩和化されることはあまりない。最近では普通自動車免許で125ccの二輪車に乗れるための規制緩和が叫ばれているが、これですら賛否両論の議論がある。

つまり日本の道交法は「超安全主義」なのだ。そのためには、利便性やテクノロジー発展をいくらか犠牲にする傾向がある。

車両に事故防止用センサーシステムなどが搭載されていたとしても、それはまったく関係ない。もし事故が発生したら、その責任は運転者が負うものだという点に変わりはないからだ。

それを考慮すると、パーソナルモビリティの公道無免許利用実現の壁は日本では極めて高いと言わざるを得ないだろう。また免許の所持を条件に公道利用を可能にしたとしても、厳格な性能制限が課せられると見るべきだ。

アメリカ西海岸のスタートアップは「時速40kmの電動キックボード」などをよく開発するが、そうした車両が日本の公道を走る日はまず来ない。世論が許さないものと思われる。


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■自動運転車にも影響か

では、オートドライブ車はどうだろうか。

日本では東京オリンピックまでに、パーソナルモビリティとオートドライブ車の実用化しようという動きが活発になってきている。自動運転バスなどはすでにテスト走行の段階に入り、その実用化も決して遠くはないだろう。

だが、問題は公共交通機関の車両ではなく自家用車。今あるオートドライブ機能搭載の車は、「すべての運転を自動でしてくれる」わけではない。あくまでも「補助装置」だ。

相次ぐ高齢者ドライバーの事故で国民全体が神経質になっている中、「免許の自主返納」の代わりに「より優れたオートドライブ機能」を掲げることは日本人のメンタリティーにそぐわないのではないか。これがカリフォルニアの起業家なら「事故が多発しているからこそオートドライブ機能を充実させる」発想になるかもしれないが。

すなわち、これからも日本は「厳格な道交法」を前提に置いた最先端テクノロジー活用の道を模索し続ける、ということだ。

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(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一

高齢者取材道交法認知症
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