「適正AV」とは何か? AV業界改革有識者委員会が記者会見
社会的な注目を集める「AVへの出演強要問題」に対して、法学者・弁護士らを中心とした「有識者委員会」が発足会見。
昨年から社会問題として注目を集める「AV出演強要」の問題について、17日、『AV業界改革有識者委員会』が、東京・新宿で記者会見を行なった。
委員会は、憲法学者の志田陽子・武蔵野美術大学教授を代表委員とし、犯罪学者で法社会学が専門の河合幹雄・桐蔭横浜大学教授、表現規制の問題にくわしい山口貴士弁護士、歌門彩弁護士を委員として、今月1日に発足。
委員会には、200社以上のメーカーが所属するIPPA(知的財産推進協会)の他、女優の所属事務所による日本プロダクション協会、実演家の権利を守る一般社団法人AVAN(表現者ネットワーク)、販売店の団体、DMMやTSUTAYAなど大手流通業者など、AV業界の川上から川下までが参画する。
8つの提言や22条からなる『業界が守るべき規則』がすでに発表されており、6ヶ月後をめどに法人化してからは、テレビ業界におけるBPO(放送倫理・番組向上機構)のように、その実行状況を監視するという。
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■無審査や無修正など違法映像と峻別
この会見の中で、もっとも興味深く耳新しいキーワードが「適正AV」という言葉だ。
委員会が定義する「適正AV」とは、IPPAに加盟したメーカーが制作し、正規の審査団体の厳格な審査を経て認証された映像のこと。
「AV」と批判を受ける中には、こうした審査を受けたものだけでなく、無審査や海外配信の無修正モノ、海賊版や児童ポルノが含まれるため、こうした不適切・違法な映像と分けて議論する必要があるという考え方だ。
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■表現の自由のためにも「自己決定権と人権保護」
代表委員を務める志田教授は、美術大学の教員として「表現者のための社会ルール」を大学生に教えてきた。
AVへの出演強要問題には、表現と法にかかわる立場から心を痛めていたという。
「表現者にとって表現の自由は可能な限り守られるべきだが、他者への配慮がないと表現そのものが続かない」として、AV業界が社会に認められる「持続可能な発展」が必要と語った。
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■「インフォームドコンセント」が必要
表現規制や消費者問題の専門家である山口弁護士は、「『出演者の自己決定権・安全』が確保されて初めて『表現の自由・職業選択の自由』というロジックを使うことができる」とスライドを使って説明した。
「契約書にサインした」「口頭で説明した」くらいでは自己決定権の保障として不十分であり、仮に出演者がインフォームドコンセントを断ったとしても怠らないことや、ヒューマンライツ・ナウ(HRN)やPAPSなど、意見の異なる立場からの問題提起を聞くことが重要という。
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■罰則規定はないが一定の強制力も
任意団体であるため規則を破ることへの法的拘束力はないが、違反者はこの枠組みから追放し、その事実と理由を明らかにすることで、一定の強制力を持ちうる(山口弁護士)。
ただし、規則8条に記された「模範契約書」の中身は、立場や利害の異なるメーカー、プロダクション、実演家などの関係者と詰めていくことが求められ、今後の課題も少なくない。
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(取材・文/しらべぇ編集部・タカハシマコト)
(文/しらべぇ編集部・タカハシマコト)