離婚した父娘が無理心中? 面会交流と「単独親権」の問題点を弁護士が解説

離婚後に子供の親権を奪い合う「単独親権」の日本に対して、先進国の多くは「離婚後共同親権」を採用。

2017/04/27 07:30


 

■泥沼化する親権争い

高橋弁護士

このように、子供にとってあまりにも酷な状況を生んでいる原因の一部が、「単独親権」と「面会交流の確保ができない」という点にあるように思われます。

日本においては、親権を持った親のもとで子供は育てられるので、親権を持たない親が子供と会うには面会交流が必要になります。しかし、面会交流の機会は親権を持った親の協力がないと確保することが困難です。

ひどい例では、親権者が「あの人はあなたたちを捨てた。あの親に会うならもう面倒は見ない」などと子供の気持を折り、子供に「会いたくない」といわせている場合さえあるようです。

このような結果も想定できるがゆえに、離婚時の親権争いは熾烈を極めるのです。


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■先進国の多くは「離婚後共同親権」

一方、多くの先進国は共同親権の制度を採用しています。これは、「離婚をしても親は親、子は子」という考え方から、両親ともに親権を持っているのと同時に、養育の義務を持っていることを前提にしています。

実際の共同親権は、国によってその内容が異なるため、「単独親権」「共同親権」という言葉だけに振り回されるべきではありません。

しかし、今後の流れとして、親権を争う必要性の低下、よりシンプルに言えば「親権を手放しても、子供との繋がりを手放す必要はないという親権の在り方や面会交流の在り方」が求められていると考えています。

今回の事件を踏まえて、面会交流の実施には、より厳しい目が向けられるかもしれません。面会交流のやり方については、もっと安全面が考慮されるべきでしょうが、面会交流の制度自体に対する攻撃の議論は、問題の根底に迫るものではないように感じます。

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(文/レイ法律事務所高橋知典弁護士

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