インドネシアで「さらなる進化」を遂げる日本の中古鉄道車両

ジャカルタで活躍する中古鉄道には中吊り広告も。改札もSuicaのような電子マネーでピッ

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インドネシアの首都、ジャカルタに日本製の中古電車が走っているというのは有名な話である。

これは、インドネシア政府にとっては「苦肉の策」だ。この国で鉄道車両製造を手がけるのは、国営INKA社。

しかしそのINKA社の工場は、生産ラインが多いとは言えない。だからつなぎとして、線路規格が同じ日本から中古を輸入しているのだ。

だが一方で、ジャカルタにやって来た中古車両は現地で独自の「進化」を遂げている。  


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■「先進国」インドネシア

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ジャカルタは、ある意味で日本より進んでいる。

この国の経済発展は、2010年代の最先端テクノロジーとともにある。だから都市部でのスマートフォン普及率は高いし、キャッシュレス決済も当たり前。

ジャカルタ市内の鉄道を利用する際も、乗客のほとんどはICキャッシュカードを使う。これは各銀行が発行しているもので、それぞれ呼び名は違うが機能は同じだ。日本のSuicaのように、改札機にかざして構内に入る。

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ジャカルタは、道路渋滞が深刻だ。だからバスや鉄道などの公共交通インフラの整備は不可欠だが、そこには別の問題も浮上してくる…車内の治安維持である。

ジャカルタの都市鉄道は、日本よりも警備が厳しい。駅構内と車内に鉄道警察が常駐しているのだ。そして最前列と最後列の車両は、終日女性専用車に割り当てられている。ここに男性が入ることは許されない。  


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■中吊り広告をもたらした日本製車両

日本の鉄道車両は、インドネシアに新しいビジネスモデルをもたらした。 それは中吊り広告である。すべての車両にあるというわけではないが、日によっては大企業がそのダイヤの全車両に中吊り広告を貼り付けるのだ。

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面白いのは、日本にない電子広告があるという点。中吊りの位置に液晶画面を後付けし、スポンサー企業のCMを流す。大抵は資金力のある銀行の広告だ。キャッシュレス決済を普及させたいインドネシアの金融機関にとって、鉄道はひとつの重要セクターである。

ジャカルタの急速発展は、鉄道駅を中心に進められていると言っても過言ではない。  


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■遅延は「当然」

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ただし、問題点もなくはない。

インドネシアの公共交通機関は、ダイヤがあってないようなもの。いつ電車が来るのか? 何分遅れているのか? 駅員ですら知らないのだ。

だから、こんなことが起こる。ボゴール方面の電車が数分に1本の間隔で頻発しているのに、反対方面のジャカルタ・コタ行きの電車が一向に来ない。日本では間違いなく責任問題になるような現象だが、インドネシアでは日常茶飯事だ。

日本の鉄道を導入したからといって、ダイヤの厳格さも日本並みになるというわけではない。だが、車両の堅牢性はどこへ行っても健在である。30年、40年前の車両が今もジャカルタの線路を走っているのだ。

こうした面からも、両国の国際交流が促進されているという現実がある。

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(取材・文/しらべぇ編集部・澤田真一

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