弁護士が芸能人の権利を守る? 『日本エンターテイナーライツ協会』に聞く

日本エンターテイナーライツ協会の声明文「田中聖さんの逮捕に対するERA声明」が話題に。共同代表理事の佐藤大和弁護士に協会について詳しく話を聞いた。

2017/06/03 08:00

設立されたばかりの「芸能人の権利を守る 日本エンターテイナーライツ協会」が5月26日に発信した声明文「田中聖さんの逮捕に対するERA声明」が話題になっている。

協会の共同代表理事の一人で、しらべぇコラムニストの佐藤大和弁護士に、協会の目的や、設立に対する思いについて話を聞いた。

(佐藤大和弁護士)


 

■芸能人のトラブルは、もっとカバーできる

――協会設立のきっかけは?

佐藤弁護士:数年前からメディア出演が縁で、芸能関係の相談が増えたんです。気づいたのは、芸能事務所側の弁護士は多いけれど、芸能人側の弁護士が少ないこと。そこで、積極的に芸能事件を扱いました。


すると、芸能人側の弁護にも、いろんな切り口の問題があり、僕個人だけで問題全体をカバーするのは難しいと思っていました。そこで、共同理事の先生方に協力を頂き、5月12日に設立しました。


――26日の声明文を出されたのは?

佐藤弁護士:共同理事間で話し合って声明を出しました。法律上は有罪の判決を受けるまで「無罪」と推定され、報道機関にもそれを求めるものです。


出して驚いたのは、一般の方々からの反応ですね。芸能ファンのみなさんからこんなに反響があるとは考えていませんでした。僕たちとしてはとても心強いです。



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■契約書をしっかり見ておかないと、解約時にトラブルになる

――「芸能人の権利を守る」とは、エージェントを立てるなど、ハリウッド的システムに近づける意味なのか?

佐藤弁護士:将来的には考えているのですが、いきなりは難しいです。僕たちは、まず、芸能人のみなさんが法律や社会制度に対する知識を身につけるため、そのサポートをすべきと考えています。


ビジネスとしてもうまくいっているような、いい芸能事務所さんは多いです。ただ、タレント側が契約書を理解しないと、辞めるときにトラブルになります。


円満で辞めるのが一番いいし、裁判はマイナスイメージしかありません。基準になるような契約書のひな形を作ることがゴールの一つになると思います。そして、事務所とタレントとの架け橋になりたいですね。既存の事務所さんと戦うわけでは決してないです。



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■地下アイドルより下…ブラックな事務所

――いい事務所もあれば、よくない事務所もあるのでは?

佐藤弁護士:「地下アイドル」より、もっと下。地下2階・3階と呼んでもいいような、悪徳事務所が存在します。たとえば、モデル事務所の登録料として写真代で10万円取られたり、エステや美顔器などの高額商品を買わされたりするケースがあります。


最近のメディアの多様化によって、一般人と芸能人の境界が曖昧になっている。そこに注目した悪い人たちがいるんですね。そんな詐欺ビジネスとは、戦って排除していきたいです。



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■「駆け込み寺」になれたら

――今現在も、困っているタレントさんがいるのではないか?

佐藤弁護士:もちろん「駆け込み寺」的な機能も協会内で作っていく予定です。また、セカンドキャリアに困っているタレントさんが、芸人やアイドルに多いですね。


引退後のスポーツ選手を支援する組織は存在しますが、芸能人にはないので、力を入れていきたいことの一つです。


――近い将来、協会でやっていきたいことは?

佐藤弁護士:まずは一歩ずつですが、夢は政策提言、労働組合設立支援、エージェント制度。あとは立法。芸能人や、エンターテインメントに関わるフリーランス・個人事業主に関する法律はないと思っています。


何かルール作りを国に訴えかけていきたいですね。行政まで巻き込みたいです。



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(取材・文/しらべぇ編集部・京岡栄作 取材協力/芸能人の権利を守る 日本エンターテイナーライツ協会

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