川奈まり子と作家・花房観音が語る「女性と性欲」の未来とは
独自の視点でAV業界や女性の性について考える、作家・花房観音と元AV女優でAVAN代表の川奈まり子が対談
■AV業界は「消費される性」について再考すべき
川奈:セックスと人間は隔てられない物であり、生きている限りは性というものと付き合っていかないといけない。性を男性に管理されるのは楽な面もあるかもしれないけれど、「それでは本当の人生を生きていることにはならない」と考える女性側の不満や怒りは、非常に大きく蓄積されています。
そうした不平等を背景としたフェミニストの戦いの歴史が積み重ねられる中で、若い女性が自分たちの性を自分で取り戻して、「AVに出てもいいじゃないか」と思えるようになって、積極的にAV業界に飛び込んでくるようになりました。
ただし、AVは「大量生産・大量消費される商品」であって、AV女優は宿命的に消費されてしまう。女優さんは大勢必要になり、たくさんの女優が消費されてしまうのです。現役のAV女優は約4000人。また約40年のAV史をさかのぼり、引退したAV女優も含めると、AV出演を経験した女性たちは約15万人にものぼります。
積極的にAV出たい女性が増えた時代だからこそ、その15万人の女性が全員消費されてしまっているという事実についても、AV業界は問題意識を持って考えるべきです。
花房:実際、川奈さんは、楽しそうだなと思ってAVに出て、実際に楽しかったと思います。知り合いの知り合いで20年位前に売れっ子の女優だった方も「楽しかった思い出しかない」と言っています。
今、元AV女優であることを隠さずにクリエイティブな職業で活躍している人たちもいます。「消費される性」は、その人を取り巻く状況にもよりますが、本人が気持ちをしっかり持って第二の人生を歩もうとする姿勢も大切だと思います。そのためにもAVANの存在は重要です。
AVANでは、7月29日に「渋谷ロフト9」でパネルディスカッションを開催する予定だ。
(文/しらべぇ編集部・Sirabee編集部)