上品スープの虜に…画廊を名乗るラーメン店のレベルが高すぎる件
多くのラーメン店がひしめく中、本当にスゴイと思える店は数少ない
■別名が「チャラーメン」!?
ここまで、英の魅力をまじめにレポートしてきたが、この店には常連客が愛情をこめて呼ぶ、もう一つの名前がある。その名前は「チャラーメン」。
シェフ・手塚氏の友人が「チャラ男の作るラーメンだから、チャラーメン」と言ったのが広まり、この店の通称となっている。実は手塚氏、ラーメンの修行を始める前は1年半、横浜でホストをしていたのだ。
手塚氏:一応ナンバー1にはなりましたけど、月に100万円稼いでも、それを継続するためにはコストがかかるんですよ。いいスーツ買ったり、つき合いがあったりで、100万あったら90万くらい使わないと…だから資金作りにはならなかったですね。(笑)
茶髪に特注のコックコートは、確かにチャラく見えなくもない。しかし、ラーメンにはバカマジメ。店名に「画廊」とつけた理由をこう語る。
手塚氏:師匠の店が「麺劇場」だったので…というのもありますが、フレンチとかイタリアンのお皿って絵画のような美しさがあるじゃないですか? 庶民的なラーメンとは、かけ離れているような――そこを近づけていきたかったんです。
――そこには近づいた?
手塚氏:ラーメンという食べ物へのお客様の意識が、この10年で上がりましたよね。みんな鉢巻して、肌着みたいなズボンでやっている…ってイメージだったのが、こういう格好(コックコート)でやっているようなラーメン屋さんも、いるようになって。
僕がどうこうではなくて、ラーメン業界へのお客様の意識がすごい上がってきている中で、近づけていると思います。
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■楽しみで早く並びすぎる客も
――月替わりの麺を出し続けるのは、大変なのでは?
手塚氏:以前は月1じゃなくて、月の前後半に分けて出していたんです。そうしたら常連さんから「追いつかないよ」って怒られました。(笑)
でも、どこかで食材を見つけたり、教えてもらったりすると、使ってみたい症候群が出てしまう。最終的にギリギリ前日まで、細部をいじったりすることもありますね。
ありがたいことに、楽しみにしてくださるお客様がいて、毎月1日は行列になります。すごい時は、僕が店に来る前から並んでくださった方までいて、あれは驚きました。(笑)
「鼓」「雫」2品の材料と味のレポートを見て、ラーメン好きやグルメな人なら、「この店、原価率どうなってるんだ!?」と思った人もいるだろう。
正直、どちらもラーメンとしては2000円クラスの味で、これを800円台で提供しているのは、店の経営を心配したくなるレベル。
手塚氏:やっぱりラーメンなので、〆のごはんも付けて1000円以内に収めたいんですよ。それに、周りはサラリーマンの人が多いので、そんなには出せないと思うんですよね。なので、あんまり上げちゃうと…。
贅沢に使っていますが、赤字にはならないようにがんばっているので、あとは数を出していく感じですね。
そうは言っても、放っておくと、とんでもない材料を仕入れてしまうこともあり、「番頭さん」ともいえるスタッフ・池座さんに叱られることも。
そんな贅沢な英のラーメン、ぜひ実際に食べてみてもらいたい。
【麺画廊 英 ~Noodle Art Gallery HANABUSA~】
住所 東京都中央区日本橋人形町2-35-2
営業時間 11:30-13:50、18:00-21:00
定休日 土曜日(祝日含む・不定休)
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(取材・文/しらべぇ編集部・くはたみほ)