暗黒の密室でわいせつ行為 ネット社会を具現化「ブラックボックス展」が物議

長時間並んでも入場を許されなかった人もいる一方、「痴漢に遭った」など深刻な被害が報告されている

2017/06/19 15:00


手
(Edward Chan/iStock/Thinkstock)

5月6日から6月17日までの期間、匿名のバーチャルアーティスト・なかのひとよ氏による『ブラックボックス展』が開催された。

「2061年からやって来た未来人」と自称し、『サザエBOT』というツイッターアカウントの集合意識として、風刺的なツイートやフォロワーとの共犯型イベントなどで注目を集めている氏の個展だ。

個展は連日長蛇の列ができる大盛況となったが、そのアヴァンギャルドな展示内容に、ネット上では様々な意見があがっている他、深刻な被害を訴える人も続出している。


■謎に包まれた美術展

『ブラックボックス展』は、開催当初から作者に意向により展示内容が一切開示されず、写真・動画撮影、ネット上への書き込みなどを規制する「謎の個展」として話題に。

さらに、盛況を受けて会期が延長されると6月13日から「『アルテマレベル』にアップデート」され、入場規制が敷かれることとなった。

「アルテマレベルでは、本展覧会に適した精神・態度基準に達する者でなければ入場することができません。すべての来場者に入口でバウンサー(門番)による『鑑賞者の選別』が行われ、「選ばれし者」のみが入場可能となります。


選別基準はバウンサーの独断によるため、落選理由の詳細は勿論のこと、苦情等も一切受け付けません。たとえ遠方からの訪問であっても、行列に数時間並んだ後であっても、プレス記者であっても、アート関係者であっても、この『鑑賞者の選別』は平等に行われます」


公式サイトによると、髪型や服装などがジャッジに影響するとかしないとか…。


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■「ブラックボックス」で痴漢が多発する大惨事

「ブラックボックス展」について、ネット上に書き込むことができる内容については若干の規制があるものの、体験した人たちから様々な感想があげられている。

入り口にて『鑑賞者の選別』を受け、同意書に署名をして中に入ると、完全に光が遮断された「真っ暗な部屋」に通されるという。

その「ブラックボックス」の中で「痴漢に遭った」とする書き込みが殺到しており、会期終了と共に徐々に明らかとなった展示内容が物議を醸している。

https://twitter.com/tmpocke/status/876092177541091328

https://twitter.com/tmpocke/status/876093870915727360

https://twitter.com/tmpocke/status/876096671435837441

https://twitter.com/BluuuuuueSky/status/876025218635935744

この他にも、「知らない男に抱きつかれた」や、意図的に顔を触られ、唇の位置を確かめられた上でキスをされたなどの投稿がみられ、「強制わいせつなのでは?」との意見も。


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■「これもアート?」混沌とするツイッター

作者から「嘘の展示内容を連想させる投稿」を許可する旨の紙を渡されるなど、入場者によるネット投稿や、それによって起こる現象をも「作品の一部」とする意図を感じる本作品。

「ブラックボックス」が投影した様々な事象に「どこまでが作者の意図なのか」と、痴漢被害者の激しい感情も入り混じり、ネット上の「#ブラックボックス展」は混沌としている。

https://twitter.com/sousaku_akari/status/876137894703792128

https://twitter.com/wakooreda/status/876179077614391296

「ネット社会」を風刺してみせたかのような、ブラックボックス展。最大の争点は、「痴漢被害」も作者が意図していたのか、それとも予見出来なかったのかどうか。

感想としてあげられているものは、人間の心理をついた巧みな演出を評する声、「痴漢じゃなくて、窃盗や傷害事件にもなりかねなかった」といった酷評と様々。

現在、作者であるなかのひとよ氏のツイッターは非公開となっており、口コミの混沌化に拍車をかけている。


痴漢被害者が体験した恐怖は測り知れず、痴漢は立派な犯罪行為であり、許されることではない。「『匿名』が人間に及ぼす影響」として考えると、末恐ろしい悲惨な結果である。

(文/しらべぇ編集部・もやこ 参照/SCIENCE GALLERY LAB AXIOM HP

痴漢美術
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