技術者が足らない…『日本ディープラーニング協会』設立で育成目指す
ディープラーニングを事業の核とする企業や研究者が中心となり設立された協会のシンポジウムをレポート
4日、千葉・幕張で開催されている「CEATEC JAPAN 2017」内において、「一般社団法人 日本ディープラーニング協会 設立発表シンポジウム」が開かれた。
会場には技術関係者やメディアが多く集まり、用意された席は満席。各所からの注目が高いことが伺える。
■協会設立の背景とは
理事長の松尾豊氏から、日本ディープラーニング協会設立の背景について説明。
ちなみに、ディープラーニングとは、コンピュータが大量のデータを学習して、自動的に理解する機械学習方式のことを指す。
松尾氏は、ディープラーニングが使われている技術について、世界最強の棋士に完勝した囲碁AI(人工知能)「アルファ碁」を例に挙げた。
「AI同士の棋譜が公開されると、プロが打っているのと全く違う、打っちゃいけないと言われる打ち方もしているのに強い。人間が何千年も探索してきた囲碁の領域は、ごく一部でしかなかったことがわかってきた」と紹介する。
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■日本の産業競争力向上を目指す
また、松尾氏は「画像や映像の認識能力はコンピュータが非常に苦手だったが、ディープラーニングによって誤答率が徐々に低くなり、2015年に人間の精度を超えた」と話す。
さらに、画像認識の能力の向上はコンピュータに「眼の誕生」を意味するとして、「今まで人の眼を頼っていた仕事が、どんどん機械で自動化される可能性がある」と指摘したが、日本では他国に比べて導入が遅れているという。
松尾氏は「ディープラーニングはものづくりと組み合わせると、非常に潜在的な可能性があり、日本に有利な技術。有効に活用することで、産業競争力を高めたい」との思いが背景にあると述べた。
協会では、人材不足の解消や、産業での活用を促進させるため、教育や資格試験を通じて、2020年までに技術者3万人の育成を目標としている。
人材育成について松尾氏は、「ここ最近は、なんでも人工知能と言い始めていて、ディープラーニングでできることは何かを、技術者がきちんと把握する必要がある。能力を持つ人材を早く準備することが重要だ」と語った。
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(取材・文/しらべぇ編集部・京岡栄作)