東日本大震災で消滅した幻の「大堀相馬焼」が一新 職人たちの懸ける思いとは
双葉郡浪江町の伝統工芸品「大堀相馬焼」。福島第一原発より10キロメートル圏内に位置していたこの町で作られていた陶芸品とは?
かつて、福島県双葉郡浪江町に「大堀相馬焼」と呼ばれる、青磁色の美しい伝統工芸品があった。
「青ひび」と呼ばれる葉脈のようなひび割れや、相馬藩の御神馬が描かれているこの陶器は、焼きあがると表面に繊細な亀裂音が入る。
これを「貫入」(かんにゅう)と呼び、陶工たちは「陶器のあげる産声だ」と表現して我が子のように慈しんだという。
地域の文化を担う大きな役割を果たしてきたこの焼物が、ある日を境に姿を消すことになる。2011年3月11日に発生した、東日本大震災だ。
浪江町は、福島第一原発から10キロメートル圏内のため「帰還困難区域」に指定され、20件以上の窯元は全国に離散しなければならない事態になった。
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■展示販売会が開催
震災後は避難を余儀なくされた事業者たちだが、その後、複数の窯元が県内外に工房を再建。
10月4日から郡山市の「うすい百貨店」で、5つの事業者が集結した展示販売会が開催されるということで、しらべぇ取材班は販売会に訪れた。
素朴でありながら、力強く個性的な美しさを持つ皿や
トルコブルーの美しいコーヒーカップも販売。モダンなデザインの作品も多い。
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■個性溢れる、色とりどりの陶器
福島市に避難した、女性窯元の近藤京子さんが当主をつとめる「近徳京月窯」の作品は、丸皿やランプシェードは女性ならでは優しさを備えており、繊細に色付けされている。
本宮市に活動拠点を移し、ギャラリーやアトリエを新設した「菅原陶器店」の当主・小野田利治さんの作品では、トルコブルーの美しい模様が。焼き上げる直前に、ガラスを埋め込んでいるのだという。