名産地・岩船の酒米と「不二の井戸」の軟水で二つとない酒を醸す「地酒の中の地酒」とは
新潟県・ふじの井酒造の酒造りを蔵元に取材。
ふじの井酒造の創業は、明治19(1886年)とされている。しかし、代表取締役の小林政輝さんによると「蔵の歴史自体はもっと古い」という。
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■歴史的大火を乗り越えて
じつはこの年、蔵のある藤塚浜一帯が大火に襲われ、現存する一号蔵以外の建物が全焼。蔵の創業年などが記された寺の過去帳も損失したため、同年を創業年とした背景がある。
幸い難を逃れた一号蔵は、その後江戸末期~明治初期の建物と判明。今なお現役で使われており、厳寒期には大吟醸酒や純米大吟醸酒の仕込みが行われる。
波乱を乗り越えて歴史を繋いだ先人に感謝し、当時の造り手に敬意を払いながら丁寧に醸す。ふじの井酒造の酒には、そんな造り手の誠実さがあらわれている。
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■岩船産の「越淡麗」や「五百万石」を使った酒造り
地の米、地の水、地の技。銘酒『ふじの井』は、まさに「オール新潟」で醸された地の酒だ。 原料米には、コシヒカリの三大産地のひとつに数えられる岩船産の「越淡麗」や「五百万石」を使用。
酒に滑らかな口当たりとまろやかな味わいを与える水は、この地に古くから伝わる「不二の井戸」から汲み上げた豊富で良質な軟水が用いられている。
そして、これら風土の恵みが「越後杜氏」の技を受け継ぐ蔵人によって丁寧に醸し上げられ、その多くが新発田市を中心とする下越地区で愛飲される。