手づくり志向の時代にあえてコンピュータ制御で 佐渡産の酒米にもこだわる『天領盃』
蔵のある佐渡で育てられた酒米『越淡麗』100%にこだわる酒づくり。
■微生物が過ごしやすい環境を整える
自社精米機だけではない、麹造りも仕込みも全てコンピュータを使った機械仕込みを行っている。
「麹造りは蓋麹法技術を活かした機械ですが、完全に人の手が入らないということではありません。弊社のモットーは必要以上に手を加えないということです。
それは麹や醪をできるだけ雑菌に触れさせないようにするため。人は、麹や醪の出来上がる環境を整える手伝いをするだけです」
もちろん、麹の香りや手触りなど人でなければ見極められない部分は人が随時判断するのだ。
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■最良とは何かを突き詰めてコンピュータ制御に
「コンピュータ仕込み=楽をしているといわれることもあります。弊社は創業当時から味に妥協せず、最高の原料をもって最高の品質の天領盃の酒を醸すべく仕込んでいます。人が関わらないということはそれだけクリーンな環境下が保たれるということ。
酒は生き物、酒を造り出すのは麹菌や酵母という微生物であることを念頭に、彼らが過ごしやすい環境を作る。原料の状態、その日の気温室温、天気をきちんと把握し、全てにおいて最高の状態に仕上げるべく緻密に計算、計画して造っています。
そして彼らが造り出した酒をきちんと取り上げ管理する。それが私たちの仕事なのです」
柴田さんもじつはもともと製造部。10年余り麹担当として長年の勘と現場の状況を判断し、きちんと計算した方法にて麹を管理し育ててきた。
「大吟醸であっても本醸造であっても全て同じ。『これが天領盃の世界』というのを守り、より向上させるべく日々努力です」