米どころ新発田で米作りから 料理に寄り添う日々の定番酒にこだわる酒蔵『金升』
歴史を感じさせる蔵の佇まいも魅力的な、新潟県新発田市の蔵元だ。
酒銘の「金升」は、蔵元の屋号。「長さは尺金で測り、嵩(かさ)は升で量るように、正確で正直なモノづくりや商売をする」との意思を示している。
尺金と升の紋印が大きく描かれたラベルは、銘柄を象徴するシンボルとなっている。
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■日々の料理を引き立てる定番酒を
酒単体では決して主張せず、料理をそっと引き立てる名脇役に徹する。味わいに派手さはなくとも、膨らみのある旨みと小気味よいキレ、甘みを帯びた余韻こそが「金升」の真骨頂だ。
代表取締役社長の髙橋綱男さんは「地元で採れた米と飯豊山系の伏流水を使い、この蔵の環境に逆らうことなくうちらしい酒を当たり前に醸す。それが、金升酒造の酒造り」だと言い切る。
髙橋社長の弟で杜氏を務める巌氏が中心となって醸すのは、日々の食に寄り添って飽きることなく呑み続けられる、飲み手にとってかけがえのない定番酒である。
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■米作りから携わる酒で新発田の魅力を表現
2002年、新発田市で活動する有志10人で結成した「おれたちの酒を造る会」のメンバーは、菅谷地区熊出(くまいで)で五百万石をはじめて田植えした。
以来、同会では毎年米作りから酒造りまでの一連の作業を手掛け、7月の七夕の頃に新酒をお披露目。出来上がった酒の巻紙にはその年の作業風景とともに「おれたち」の名が刻まれる。
新発田市菅谷地区は、コシヒカリに代表される有数の米どころ。この自然豊かな新発田の風土を一人でも多くの飲み手に感じてもらいたいと、蔵元では2016年に農業法人を設立し「越淡麗」の栽培をスタートさせた。
目指すは、全量地元産米で臨む酒造り。蔵人たちは夏は田んぼ、冬は酒蔵で汗を流し、良酒を醸す。