酒造りに「これで満足」はない 世界的レストラン『NOBU』でも愛される佐渡の酒『北雪』
佐渡の誇りを地元ともに共有し、世界のレストランで愛される地酒。
145年前、佐渡島の赤泊地区に誕生した酒蔵、北雪酒造。冬になると北風によって日本海は荒波が荒れ狂い、雪が積もる。過酷とも言える環境の中、創業当時から変わらないのが「佐渡の酒」であることという誇りだ。
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■儲けは二の次、良い酒を造る
「社長が常に口にしていることは、いくら儲かるかは関係ない。いい仕事をすれば結果は自ずと後からついてくるということです」と、専務取締役の羽豆大さんはいう。
その言葉どおり、蔵が造りだす酒は一見、奇想天外なものも多いが全て理にかなっているのだ。中でも特徴的なことは、全国でもいち早く使い始めた遠心分離機による搾りだろう。これが蔵には大小2種類、計3台ある。
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■遠心分離機でストレスのかからない上槽
正式名称は「吟醸醪上槽システム」。特徴は醪を圧力でなく遠心力で搾るため、酒への過度な負担をかけず、まるで、雫酒のようなきれいな酒に仕上がる。
そのうえ、すべてステンレス製なので酒袋からつく独特のニオイが全くつかず、密閉空間で搾るため、吟醸香が空気中に拡散せず、酒にしっかりと残る。蔵では吟醸だけでなく普通酒もこれで搾っているそうだ。
「醪を満点の良い状態で仕上げても、そのあとの工程を重ねるごとに質は下がります。いかにして醪の時のような状態を少しでも保てるか。
ヤブタや槽など圧力で搾る工程は醪にかなりのストレスがかかり、それだけで酒の性格はガラリと変わる。遠心分離機では圧が全くかからないので、醪により近い状態の酒が得られるのです」