今代司酒造「錦鯉ボトルの日本酒」はなぜ生まれた? 今と昔、人と人を結ぶ酒の力とは
新潟市・沼垂地区で、新社長のもと注目を集める『今代司酒造』を取材。
明和4(1767)年創業。本格的に酒造業に取り組んだのは、明治中期のことだ。蔵のある沼垂(ぬったり)という地区には酒造に適した水があり、港が近く酒の運搬に便利だったことなど、好条件が揃っていた。
画像をもっと見る
■食通に鍛えられた酒
かつては日本の表玄関だった日本海に面する町。北前船の航路もあり、発展した町は多い。その中でも、米どころという地の利を背景にひと際発展を遂げたのが新潟市だった。
新潟県は、幕末から明治にかけては、江戸を超える人口だったという。
新潟市には日本で三指に入ると言われた花街があり、そこに集う舌の肥えた料理人や旦那衆をも唸らせる酒を、と励み、鍛えられてきた酒蔵だ。
高級店ほど、食事を引き立てる良い食中酒を求めるもの。すっきりと淡麗な、新潟らしい味が確立され、今に引き継がれた。2006年からは、さらに良い水を求めて、越後菅名岳の天然水を運び、使用している。
関連記事:酒は飲めるがビールは苦手 若い女性からは「大人の味」との声も
■希少な「全量純米造り」の蔵
純米酒をメインとしている蔵もまだ少ない新潟にあって、2006年から全量純米の特定名称酒のみに切り替えた今代司。純米酒ならではの米の旨みが生きた味と穏やかな香りの食中酒が揃う。
それに加え、すっきりと軽やかに仕上がっているのは、越淡麗や五百万石といった淡麗に仕上がる新潟県産酒米を使っていること、そして高い技術のたまものだ。